icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻9号

2011年09月発行

文献概要

特集 第64回日本臨床眼科学会講演集(7) 原著

A型インフルエンザ罹患後に視神経炎症状のみを呈した急性散在性脳脊髄炎の1例

著者: 石川友佳子1 山口昌彦2 坂根由梨1 松田久美子2 林正俊3 大橋裕一1

所属機関: 1愛媛大学大学院医学系研究科感覚機能医学講座視機能外科学分野 2愛媛県立中央病院眼科 3愛媛県立中央病院小児科

ページ範囲:P.1473 - P.1476

文献購入ページに移動
要約 目的:A型インフルエンザ罹患後に視神経炎のみを呈した急性散在性脳脊髄炎の症例の報告。症例:8歳女児が10日前からの両眼視力障害で受診した。40日前にA型インフルエンザに罹患していた。所見と経過:視力は両眼とも眼前指数弁で,両眼に乳頭の発赤腫脹があった。磁気共鳴画像検査(MRI)で両側の非対称性の散在性脱髄性病変があった。他には神経学的異常はなく,インフルエンザA抗体価が上昇していた。急性散在性脳脊髄炎と診断し,ステロイドのパルス療法を開始した。20日後に左右眼とも視力は1.2に改善し,乳頭の腫脹と脱髄性病変も軽快した。以後11か月後の現在まで再発はない。結論:本症例は視神経炎のみを症状とする急性散在性脳脊髄炎と考えられる。

参考文献

1)浅埜訓子・柏井 聡・武藤庫参・他:急性散在性脳脊髄炎に伴い両眼急性視神経症を認めた女児について.眼紀 43:896-901,1992
2)Kesselring J, Miller DH, Kendall BE et al:Acute disseminated encephalomyelitis. Brain 113:291-330, 1990
3)二階堂弘輝・津川 毅:急速に脳ヘルニアに陥り,死亡した劇症型急性散在性脳脊髄炎の1例.小児科臨床 57:1194-1198,2004
4)Cohen O, Steiner-Birmanns B, Biran I et al:Recurrence of acute disseminated encephalomyelitis in the previously affected brain site. Arch Neurol 58:797-801, 2001
5)Dale RC, Sousa C, Chong WK et al:Acute disseminated encephalomyelitis, multiphasic disseminated encephalomyelitis and multiple sclerosis. Brain 123:2407-2422, 2000
6)Oishi M, Mochizuki Y:Multiple sclerosis presenting as acute disseminated encephalomyelitis. J Neurol Sci 160:100-101, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?