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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科65巻9号

2011年09月発行

文献概要

臨床報告

高齢者の中心性漿液性脈絡網膜症様所見を呈した原田病の1例

著者: 小池直子1 尾辻剛1 中内正志1 木村元貴1 西村哲哉1 髙橋寛二1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1523 - P.1529

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要約 目的:初診時に高齢者に特有な中心性漿液性脈絡網膜症に似た所見を示し,経過とともに原田病の典型像を呈した報告。症例:62歳男性が6か月前からの右眼の変視症と視力低下で紹介され受診した。所見:矯正視力は右0.6,左1.2であった。右眼黄斑部に漿液性網膜剝離があり,蛍光眼底造影で1個の点状の過蛍光と網膜下への強い色素貯留があった。インドシアニングリーン蛍光眼底造影早期に充盈遅延があった。光干渉断層計で漿液性網膜剝離とフィブリン様の中等度反射があった。無治療での経過観察で,7か月後に右眼視力が1.0に回復したが,左眼に網膜剝離が生じ,両眼に乳頭浮腫が起こった。その2か月後に網膜剝離は消褪し,さらに3か月後には両眼が夕焼け状眼底になった。結論:原田病の初期では,高齢者に特有な中心性漿液性脈絡網膜症に似た所見を呈することがある。

参考文献

1)磯部 裕・山本倬司・大野重昭:Vogt-小柳-原田病.増田寛次郎(編):ぶどう膜炎.82-87,医学書院,東京,1999
2)丸子一朗・飯田知弘:中心性漿液性脈絡網膜症はこう読む.あたらしい眼科 26:605-612,2009
3)Fardeau C, Tran TH, Gharbi B:Retinal fluorescein and indocyanine green angiography and optical coherence tomography in successive stages of Vogt-Koyanagi-Harada disease. Int Ophthalmol 27:163-172, 2007
4)松永裕史・松原 孝・福島伊知郎・他:原田病のインドシアニングリーン蛍光眼底造影所見.日眼会誌 98:852-857,1994
5)和田光正・山田晴彦・岩下憲四郎・他:中心性漿液性網脈絡膜症のインドシアニングリーン蛍光眼底造影所見.臨眼 52:572-577,1998
6)Maruyama Y, Kishi S:Tomographic features of serous retinal detachment in Vogt-Koyanagi-Harada syndrome. Ophthalmic Surg Lasers Imaging 35:239-242, 2004
7)Iida T, Hagimura N, Sato T et al:Evaluation of central serous chorioretinopathy with optical coherence tomography. Am J Ophthalmol 129:16-20, 2000
8)杉浦清治:Vogt-小柳-原田病.臨眼 33:411-424,1979
9)安積 淳:Vogt-小柳-原田病(症候群)の診断と治療 病態 定型例と非定型例.眼科 47:929-936,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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