臨床眼科66巻1号

2012年01月発行

臨床報告

大分大学医学部眼科におけるぶどう膜炎の臨床統計

著者： 池脇淳子¹³ 瀧田真裕子² 久保田敏昭³

所属機関： ¹新別府病院眼科 ²永田眼科 ³大分大学医学部眼科学教室

ページ範囲：P.61 - P.66

要約　目的：過去3年間の大分大学眼科でのぶどう膜炎の統計報告。対象と方法：2006～2008年に当科を受診した内因性ぶどう膜炎176例を診療録に基づいて検索した。結果：男性76例，女性100例で，年齢は6～85歳，平均53歳であった。59例が片眼，117例が両眼に発症していた。内訳は，サルコイドーシス51例（29％），原田病16例（9％），Behçet病12例（7％），ヒトT細胞白血病ウイルス1関連ぶどう膜炎5例（3％）などであり，58例（33％）が分類不能であった。結論：今回の結果は，従来の他施設からの報告と同様に，サルコイドーシス，原田病，Behçet病の3大ぶどう膜炎の頻度が高いことを示している。

参考文献

1）小池生夫・園田康平・有山章子・他：九州大学眼科における内因性ぶどう膜炎の統計．日眼会誌　108：694-699，2004

2）橋本夏子・大黒伸行・中川やよい・他：大阪大学眼炎症外来における初診患者統計―20年前との比較．眼紀　55：804-808，2004

3）吉田ゆみ子・浦野　哲・田口千香子・他：久留米大学におけるぶどう膜炎の臨床統計．眼紀　55：809-814，2004

4）加藤陽子・小豆澤美香子・佐藤貴之・他：横浜市大医療センターにおけるぶどう膜炎の統計．臨眼　58：613-616，2004

5）藤村茂人・蕪城俊克・秋山和英・他：東京大学眼科における内眼炎患者の統計的観察．臨眼　59：1521-1525，2005

6）秋山友紀子・島川眞知子・豊口光子・他：東京女子医科大学眼科ぶどう膜炎の臨床統計（2002～2003年）．眼紀　56：410-415，2005

7）糸井恭子・高井七重・竹田清子・他：大阪医科大学におけるぶどう膜炎患者の臨床統計．眼紀　57：90-94，2006

8）福島敦樹・西野耕司・小浦裕治・他：2004年の高知大学医学部眼科におけるぶどう膜炎の臨床統計．臨眼　60：315-318，2006

9）小沢昌彦・野田美登利・内尾英一：福岡大学病院眼科におけるぶどう膜炎の統計．臨眼　61：2045-2048，2007

10）梅野有美・田口千香子・山川良治・他：久留米大学眼科におけるぶどう膜炎患者の臨床統計．あたらしい眼科　27：544-548，2010

11）厚生省特定疾患「びまん性肺疾患」調査研究班：サルコイドーシスの診断基準．日サルコイドーシス会誌　9：159-161，1989

12）厚生省特定疾患「びまん性肺疾患」調査研究班：眼サルコイドーシス診断の手引き．日サルコイドーシス会誌　9：162，1989

13）水島　裕・稲葉午朗・三村康男・他：ベーチェット病診断の手引き．厚生省特定疾患ベーチェット病調査研究班 昭和61年度研究業績．16-17，1987

14）Read RW, Holland GN, Rao NA et al：Revised diagnostic criteria for Vogt-Koyanagi-Harada disease：report of an international committee on nomenclature. Am J Ophthalmol　131：647-652, 2001

15）後藤　浩：結核性ぶどう膜炎の現状と診断，治療上の問題点．眼紀　52：461-467，2001

16）大森正子：結核の統計2009を読む―わが国の結核の現状と課題．複十字　329：4-7，2009

17）後藤　浩：ぶどう膜炎に対する外科的治療法の適応と注意点．眼科手術　17：149-154，2004