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文献概要
連載 つけよう! 神経眼科力・31
高次視機能障害
著者: 中馬秀樹1
所属機関: 1宮崎大学医学部感覚運動医学講座眼科学分野
ページ範囲:P.1466 - P.1470
文献購入ページに移動 視機能は,光に対する眼の働きのさまざまな要素がうまくかみ合って初めて成立します。われわれ人間の眼は,大脳が最も発達しているため,生態系の頂点に君臨しますが,そのために最も複雑な視覚特性をもっています。したがって,大脳の高次視機能を学習するのも取っ付きにくくなります。しかし,より単純な生活環境や生活様式をもつ,人間以外の生物はその中の一部を使っていますから,その立場になって考えてみると,逆に理解しやすいかもしれません。われわれの中に組み込まれているその中の1つは,動いている物体に対する反応です。つまり,“どこにあるか?”です。生物にとって,動いている物体は,敵か,餌か,つがいになるべきものか,です。したがってその認識は大切で,われわれの大脳の中にも組み込まれています。それが,どこ経路です。
参考文献
1)Trobe JD:Hemispatial neglect:The Neurology of Vision. 326-331, Oxford University Press, New York, 2001
2)中馬秀樹・井上由希・直井信久:同名半盲と半側空間無視の鑑別における対座法視野検査の有用性,臨眼 61:1199-1202,2007
3)Zihl J, von Cramon D, Mai N:Selective disturbance of movement vision after bilateral brain damage. Brain 106:313-340, 1983
4)柏井 聡:視覚の神経眼科学.日眼会誌 112:107-120,2008
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