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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻10号

2012年10月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

カリフォルニア症候群の7例

著者: 木村徹1 武田哲郎1 前田訓志1 木村格1 横山光伸1 正化圭介2 木村亘1 木谷聡3

所属機関: 1木村眼科内科病院 2焼山木村眼科 3木谷眼科医院

ページ範囲:P.1491 - P.1496

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要約 背景:カリフォルニア症候群とは,交通事故後に視機能の障害を訴えるが,裏に経済的な補償を求める非器質的疾患である。目的:カリフォルニア症候群7例の報告。症例:過去12年間に経験した7例12眼を対象とした。男性3例,女性4例で,年齢は30~55歳(平均39歳)である。視覚障害を訴えるが,眼科的に非器質的であること,精神科での診断,諸検査への協力性などを総合的に判断し,カリフォルニア症候群と診断した。初診から1~54か月の経過を追った。結果:視機能障害が全例にあり,7例中5例は両眼性であり,6例10眼では重篤であった。全例で受傷から1週以後に発症し,対光反射に異常がなく,視力,視野,眼位,眼球運動障害などが進行または変動した。6例は検査に協力的で,全例で補償は未解決であった。結論:カリフォルニア症候群が疑われる症例では,対光反射,視機能障害の発症時期と変動,検査への協力性などが診断の手がかりになる。

参考文献

1)Keltner JL, May WN, Johnson CA et al:The California syndrome. Functional visual complaints with potential economic impact. Ophthalmology 92:427-435, 1985
2)Keltner JL:The California syndrome. A threat to all. Arch Ophthalmol 106:1053-1054, 1988
3)Scott JA, Egan RA:Prevalence of organic neuro-ophthalmologic disease in patients with functional visual loss. Am J Ophthalmol 135:670-675, 2003
4)Mavrakanas NA, Schutz JS:Feigned visual loss misdiagnosed as occult traumatic optic neuropathy:diagnostic guidelines and medical-legal issues. Surv Ophthalmol 54:412-416, 2009
5)茂木 劼:7歳少女の眼ヒステリーと交通事故に甚く外傷性神経症の各1例について.眼臨 60:338-343,1966
6)大坪成二・湊谷寛治:外傷による視力低下か? または偽盲か? 眼臨 62:127-129,1968
7)田淵昭雄・木村 久:眼外傷・薬物副作用の診断と治療.外傷神経症と詐盲.眼科 34:1131-1137,1992
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9)山縣祥隆:輻湊の異常.三村 治(編):新臨床神経眼科学.211-212,メディカル葵出版,東京,2004
10)石橋 徹:軽度外傷性脳損傷.日本医事新報 4493:60-64,2010
11)篠永正道:低髄液圧症候群/脳脊髄液減少症.神経眼科 22:56-60,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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