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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻10号

2012年10月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

外傷性毛様体解離に対する毛様体縫着術の術中に超音波生体顕微鏡を使用した症例

著者: 田辺芳樹1 伊藤勇2 恩田秀寿2 笹元威宏2 小出良平2

所属機関: 1浜松医療センター眼科 2昭和大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1509 - P.1514

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要約 目的:外傷性毛様体解離に対する毛様体縫着術の術中に超音波生体顕微鏡を使用した症例の報告。症例:4歳男児の右眼に友人が投げた本が当たり受傷した。翌日の矯正視力は右0.6,左1.2で,右眼眼圧は10mmHgであった。隅角検査で下方隅角に隅角後退があった。薬物で治療した。受傷76日後に矯正視力0.5,眼圧6mmHgとなり,低眼圧黄斑症が生じ,外傷性毛様体解離と診断した。その10日後に毛様体縫着術を行った。術中に超音波生体顕微鏡を使い,毛様体解離の位置と術後の毛様体の復位を確認した。手術の179日後に視力は0.9,眼圧14mmHgとなり,低眼圧黄斑症は改善した。結論:毛様体縫着術の術中に超音波生体顕微鏡を使い,毛様体解離の位置を同定し,術後の毛様体の復位を確認できた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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