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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻10号

2012年10月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

白内障術後のNocardia感染による結膜下膿瘍の1例

著者: 芹澤元子1 國重智之1 高橋浩1

所属機関: 1日本医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1515 - P.1518

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要約 目的:白内障手術後にNocardia属放線菌により球結膜下膿瘍が発症した症例の報告。症例:64歳男性が5週前に近医で右眼の白内障手術を受けた。強角膜切開,超音波乳化吸引術,眼内レンズ挿入が行われ,経過は良好であったという。3週後に充血,眼脂,疼痛が右眼に生じ,その2週後に当科に紹介された。所見と経過:矯正視力は右1.0,左1.2で,右眼に充血と眼脂のほか,手術切開創が離解し,結膜下膿瘍が多発していた。前房には炎症の所見がなく,眼底も正常であった。術後感染症を疑い,4種類の抗菌薬の点眼と,抗真菌薬の点眼と内服を開始した。初診から9日後に手術創から採取した検体からNocardia spp. が培養された。トブラマイシンに感受性があり,これを中心とする治療に切り替えた。初診から14日後に結膜下膿瘍は消退をはじめ,手術切開創は閉鎖し,2か月後に治癒した。結論:白内障術後に,放線菌であるNocardiaによる球結膜下膿瘍が発症することがある。

参考文献

sp. isolate to 20 antimicrobial agents. Antimicrob Agents Chemother 55:2995-2998, 2011
keratitis, scleritis, and endophthalmitis:11-year microbial and clinical overview. Ophthalmology 118:1193-1200, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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