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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻12号

2012年11月発行

文献概要

特集 災害,震災時の眼科医療

大災害時に効率的に医療を提供するために―眼科医として救援活動に参加して

著者: 上條由美1

所属機関: 1昭和大学大学院 保健医療学研究科

ページ範囲:P.1606 - P.1612

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はじめに

 2011年3月11日(金)14時46分に生じた,三陸沖を震源とする東日本大震災では,地震に引き続いた巨大津波により,東北から関東にかけての東日本一帯に甚大な被害が及び,学校法人昭和大学は東日本大震災に対して,DMAT(Disaster Medical Assistant Team)に引き続いて,独自で編成した医療チームである昭和大学医療救援隊を派遣した1,2)。災害医療では,短時間に限られた医療資源を必要な場所に提供しなければならないため,マネジメントが必要となる。医療マネジメントを専攻している筆者も,本学の救援隊本部として医療チームの編成から派遣までの活動に参加し,眼科医として実際に被災地に赴いて救援活動を行った。早い時期に被災地に入った数少ない眼科医として,自身の知見を今後の災害医療に役立てることが,最大の務めではないかと考えている。今回のこの活動を検証し,大災害時に効率的に医療を提供するための課題,特に,眼科医が自ら被災地に赴く場合,または,被災地に眼科医を派遣する場合の課題について報告する。

参考文献

1)天野長久・武重千冬・鬼塚卓彌・他:特集 阪神淡路大震災における昭和大学医療救援活動の記録.昭和医学会雑誌 55:411-459,1995
2)小口勝司・片桐 敬・有賀 徹・他:特集 東日本大震災における昭和大学医療救援活動の記録.昭和医学会雑誌 71:207-355,2011
3)松石美応・関  保・植田俊彦・他:阪神大震災における眼科医療非政府活動~NGO活動~について.日本職業・災害医学会会誌 49:7-11,2001
4)森山 涼:東日本大震災の被災地で行われた眼科診療.眼科ケア 14:42-45,2012
5)井上賢治:東日本大震災における災害支援チーム活動報告.日本の眼科 82:1065-1067,2011
6)中澤 徹:被災地における眼科診療を振り返る.臨眼 66:581-586,2012
7)Oshima CR, Yuki K, Uchida A et al:津波被災地域における移動式眼科クリニックVision Vanでの援助活動(The Vision Van, a Mobile Eye Clinic, Aids Relief Efforts in Tsunami-stricken Areas).Keio J Med 61:10-14,2012
8)土井 洋・中澤 徹:東日本大震災の被災地で行われた眼科診療―女川でのVision Vanの活動.眼科ケア 14:205-208,2012
9)加藤圭一・中澤 徹・宮城県眼科医会震災対策委員会:東日本大震災による宮城県被災地でも眼科診療.日本の眼科 82:751-753,2011
10)大澤智子:二次受傷―臨床家の二次的外傷性ストレス反応とその影響.大阪大学教育学年報 7:143-153,2002
11)Radloff LS:The CES-D scale:a self-report depression scale for research in the general population. Appl Psychol Measurement 1:385-401, 1977
12)Asukai N, Kato H, Kawamura N et al:Reliability and validity of the Japanese-language version of the impact of event scale-revised(IESR-J):four studies of different traumatic events. J Nerve Ment Disease 190:175-182, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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