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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻12号

2012年11月発行

文献概要

臨床報告

外傷性白内障が進行しなかった水晶体前囊損傷の1例

著者: 守屋豪志1 鈴木浩之1 家久來啓吾1 佐藤孝樹1 石崎英介1 植木麻理1 池田恒彦1

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1665 - P.1668

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要約 目的:木片の飛入によりやや大きな前囊損傷が生じたが,以後2年3か月間外傷性白内障が進行しなかった症例の報告。症例:47歳男性が木工作業中に木片が飛来して右眼に刺さり,自己抜去し,その1週間後に受診した。7か月前に右眼の特発性黄斑円孔に対し,水晶体を温存する手術を受け,術前0.3,術後0.5の視力を得ていた。所見と経過:矯正視力は右0.5,左1.5で,右眼角膜の下耳側とこれに相当する虹彩に穿孔創,水晶体前囊に長さ3.5mmの混濁があった。角膜創からの房水流出はなかった。以後保存的に処置した。水晶体穿孔部は線維化し,2年3か月後の現在,0.6の矯正視力を維持している。結論:外傷性白内障が進行しなかったのは,水晶体前囊の穿孔創が水晶体上皮細胞の増殖と線維化で閉鎖したことが原因であると推定される。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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