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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻12号

2012年11月発行

文献概要

臨床報告

複視に対するプリズム治療と多様な部分遮蔽法との組み合わせ

著者: 木村理恵1 杉谷邦子1 坂上敏枝1 鈴木利根1 青木典子1 林麗如1 筑田眞1

所属機関: 1獨協医科大学越谷病院眼科

ページ範囲:P.1677 - P.1681

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要約 背景:複視の治療では,プリズム装用による光学的治療のみでは不十分なことがある。目的:プリズム装用に加え,部分遮蔽を行った結果の報告。対象と方法:過去67か月間に治療をした複視のある患者80名を対象とした。年齢は28~86歳(平均62歳)である。複視の原因は,上斜筋麻痺16例,外転神経麻痺15例,上下偏位9例,甲状腺眼症4例などである。これら患者にプリズム眼鏡を処方し,複視が残る場合には部分遮蔽を追加した。平均30か月の経過を追った。結果:80例中72例(90%)で複視が消失した。その方法は,プリズム眼鏡の装用53例,これに部分遮蔽の追加7例,部分遮蔽のみの12例である。結論:さまざまな原因による複視に対し,プリズム装用と部分遮蔽を組み合わせることで,90%の症例で光学的な好結果が得られた。

参考文献

1)清水みはる・菅澤 淳・中村桂子・他:成人の複視に対するフルネル膜プリズムの処方.眼臨医報 96:420-423,2002
2)濱村美恵子:麻痺性斜視に対するプリズム治療.眼臨紀 3:43-51,2010
3)稲垣理佐子・浅野麻衣・正木勢津子・他:複視に対するプリズム適応の検討.日視能訓練士協誌 35:93-97,2006
4)松下賢治・不二門 尚:眼運動系の最新眼科治療.柏井 聡(編):臨床神経眼科学.342-346,金原出版,東京,2008
5)三村 治:複視に対する眼鏡処方.眼科 53:1001-1007,2011
6)Routt LA:Monocular partial/sector occlusion therapy:a procedure to inhibit diplopia in Brown syndrome. Optometry 82:207-211, 2011
7)Kirschen D, Flom MC:Monocular central-field occlusion for intractable diplopia. Am J Optom Physiol Opt 54:325-331, 1977
8)Flanders M, Sarkis N:Fresnel membrane prisms:clinical experience. Can J Ophthalmol 34:335-340, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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