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文献概要
連載 眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基本・26
―臨床編:各種眼疾患と生理活性物質とのかかわり―涙液
著者: 中澤満1
所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科眼科学講座
ページ範囲:P.156 - P.159
文献購入ページに移動涙液の生理機能
視覚にとっての涙液の重要性については論を俟たない。実際に私たちの眼に涙液がまったく存在しなくなると,角膜はたちどころに光学的にレンズの働きをなさなくなり,視力を失ってしまう。現に角膜上皮細胞の表面を走査顕微鏡で見るとかなり凸凹しており,このままではとても光をまっすぐに透過できそうもない。したがって,角膜上皮は表面に涙液を湛えることによって平滑なレンズの働きを担うことができる。
しかし,涙液の働きはそればかりではない。眼瞼結膜と角膜との間の潤滑剤としての働きはもちろんのこと,さらに生化学的な成分を調べてみると実にたくさんの生理活性物質が存在することが明らかになってきた。そしてそれらの生理活性物質が角膜表面のさまざまな病態に深くかかわっていることが明らかになりつつある。
視覚にとっての涙液の重要性については論を俟たない。実際に私たちの眼に涙液がまったく存在しなくなると,角膜はたちどころに光学的にレンズの働きをなさなくなり,視力を失ってしまう。現に角膜上皮細胞の表面を走査顕微鏡で見るとかなり凸凹しており,このままではとても光をまっすぐに透過できそうもない。したがって,角膜上皮は表面に涙液を湛えることによって平滑なレンズの働きを担うことができる。
しかし,涙液の働きはそればかりではない。眼瞼結膜と角膜との間の潤滑剤としての働きはもちろんのこと,さらに生化学的な成分を調べてみると実にたくさんの生理活性物質が存在することが明らかになってきた。そしてそれらの生理活性物質が角膜表面のさまざまな病態に深くかかわっていることが明らかになりつつある。
参考文献
1)西田輝夫:角膜テキスト.28-31,エルゼビア・ジャパン,東京,2010
2)Fullard RJ, Snyder C:Protein levels in nonstimulated and stimulated tears of normal human subjects. Invest Ophthalmol Vis Sci 31:1119-1126, 1990
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4)Suda T, Nishida T, Ohashi Y et al:Fibronectin appears at the site of corneal stromal wound in rabbits. Curr Eye Res 1:553-556, 1981
5)Nishida T, Nakamura M, Mishima H et al:Differential modes of action of fibronectin and epidermal growth factor on rabbit corneal epithelial migration. J Cell Physiol 145:549-554, 1990
6)Nakamura M, Nishida T, Ofuji K et al:Synergistic effect of substance P with epidermal growth factor on epithelial migration in rabbit cornea. Exp Eye Res 65:321-329, 1997
7)Nishida T, Nakamura M, Ofuji K et al:Synergistic effects of substance P with insulin-like growth factor 1 on epithelial migration of the cornea. J Cell Physiol 169:159-166, 1996
8)Brown SM, Lamberts DW, Reid TW et al:Neurotrophic and anhidrotic keratopathy treated with substance P and insulin-like growth factor 1. Arch Ophthalmol 115:926-927, 1997
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