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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻2号

2012年02月発行

文献概要

臨床報告

黒内障の初発から短期間に内頸動脈閉塞をきたした1例

著者: 西川憲清1 物部真子2 下川原立雄3 真野富也1 有田勝2 北出和史2 大江雅子1 宮浦卓1 福岡佐知子1

所属機関: 1多根記念眼科病院 2大阪警察病院臨床検査科 3大阪府立病院脳神経外科

ページ範囲:P.203 - P.207

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要約 目的:最初の黒内障発作から短期間で内頸動脈閉塞が生じた症例の報告。症例:64歳男性が8日前から2度の黒内障発作で受診した。高血圧と肥大型心筋症があった。所見:矯正視力は左右とも1.0で,眼底に著変はなかった。眼動脈ドプラ検査で右眼動脈血流の描出が困難で,頸動脈超音波検査で内膜中膜複合体に軽度の肥厚があった。磁気共鳴血管造影(MRA)で右内頸動脈の起始部は正常であったが,6週間後の脳血管造影で右内頸動脈の完全閉塞があった。経過中に視力と眼症状などに変化はなかった。初診から5か月後に浅頭動脈と中大動脈吻合術が行われ,黒内障発作は消失した。結論:黒内障発作が一過性であっても,眼動脈や頸動脈に異常があれば,内頸動脈閉塞に進行する可能性が大きい。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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