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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻3号

2012年03月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

瞼裂輪部と下方輪部のpalisades of Vogtの形態の細隙灯顕微鏡による比較研究

著者: 松原稔1

所属機関: 1松原眼科医院

ページ範囲:P.275 - P.280

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要約 目的:瞼裂露出部のVogt柵(palisades of Vogt)は下方よりも不明瞭である。その形態を細隙灯顕微鏡で比較した。対象と方法:3~97歳の外来患者284名のVogt柵を細隙灯顕微鏡に装着したCCDカメラで撮影し,瞼裂露出部と下方のVogt柵の数を検索した。結果:Vogt柵は,瞼裂露出部では細い断裂した線で強膜に密着し,下方では太い連続した直線で強膜から浮いていた。瞼裂露出部では色素で縁どりされたVogt柵はなかった。混濁がないVogt柵は,0.5mm当たり瞼裂露出部では4.1本で長さが1.7mmであり,下方では4.2本,1.4mmであった。混濁があるVogt柵は瞼裂露出部では本数で22%,長さで76%減少し,下方のVogt柵では本数で12%,長さで36%減じた。瞼裂斑と翼状片の部位にはVogt柵はなかった。結論:瞼裂露出部のVogt柵は平面的で断続した細い線を呈し,色素の縁どりがなく不明瞭であった。混濁がないVogt柵の本数と長さは下方と差がなく,混濁があるVogt柵は本数が少なく,短かった。

参考文献

1)Goldberg MF, Bron AJ:Limbal palisades of Vogt. Trans Am Ophthalmol Soc 80:155-171, 1982
2)Townsend WM:The limbal palisades of Vogt. Trans Am Ophthalmol Soc 89:721-756, 1991
3)松原 稔:日本人palisades of Vogtにみられる加齢変化の研究.臨眼 65:1615-1622,2011
4)松原 稔:日本人角膜鉄線の特徴―動画を応用した角膜鉄線撮影法による研究.臨眼 64:679-685,2010
5)Hogan MJ, Alvarado JA, Weddel JE:Histology of the Human Eye. 118-123, Saunders, Philadelphia, 1971
6)Gipson IK:The epithelial basement membrane zone of the limbus. Eye 3:132-140, 1989
7)Dua HS, Shanmuganathan VA, Powell-Richards AO et al:Limbal epithelial crypts:a novel anatomical structure and a putative limbal stem cell niche. Br J Ophthalmol 89:529-532, 2005
8)Du Y, Funderburgh JL:Stem sells of the ocular surface. In:Dartt DA, Besharse JC, Dana R(eds):Encyclopedia of the Eye 4. 212-218, Academic Press, Oxford, 2010
9)松原 稔:日本人角膜鉄線の形と分布―動画を応用した角膜鉄線撮影法.臨眼 62:517-522,2008
10)松原 稔:日本人角膜鉄線の形と分布にみる角膜鉄線発生機序の細隙灯顕微鏡写真による研究.臨眼 63:725-730,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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