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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻3号

2012年03月発行

文献概要

臨床報告

炎症が遷延化し硝子体手術で寛解した眼トキソカラ症の1例

著者: 塩谷尚子1 薄井紀夫1 浪川雄一1 内海通1

所属機関: 1総合新川橋病院眼科

ページ範囲:P.367 - P.371

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要約 目的:遷延化した眼トキソカラ症が硝子体手術で寛解した症例の報告。症例:29歳女性が12日前からの左眼視朦で受診した。2年前から子猫を飼育していた。所見:矯正視力は右1.5,左1.2で,左眼に硝子体混濁と上耳側周辺部に白色塊があった。副腎皮質ステロイド薬の点眼と内服で炎症はコントロールされていたが,6年後に悪化し,白内障が併発した。血清のトキソカラ抗体が陽性であった。硝子体切除と光凝固で炎症は寛解し,眼底の白色塊は瘢痕化した。結論:眼トキソカラ症は炎症が遷延化し,急速に増悪することがある。硝子体手術と光凝固がこれに奏効した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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