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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻4号

2012年04月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

再発を繰り返し治療に苦慮した慢性腎不全患者の急性網膜壊死の1例

著者: 岡本宏美1 渡邊一郎1 深見光樹1 桐生純一1

所属機関: 1川崎医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.449 - P.452

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要約 目的:治療中に再発を頻繁に手術した急性網膜壊死の症例の報告。症例:慢性腎不全があり,11年前から血液透析中の49歳男性が,2週前からの左眼の眼痛で紹介され受診した。右眼は幼少時に外傷で失明していた。所見と経過:左眼の矯正視力は0.2で,前房に炎症所見,下方網膜に白色混濁と裂孔原性網膜剝離があり,急性網膜壊死と診断した。腎不全を考慮し,少量のアシクロビル(2.5mg/kg/日)を投与し,網膜剝離手術を行った。網膜は復位したが,治療開始から32日後に網膜剝離が再発し,手術で復位し,その3週後に急性網膜壊死が再発した。ガンシクロビルの硝子体注射で鎮静化した。さらに4か月後と7か月後の再発も軽快し,発症から1年後の現在,低眼圧ながら0.4の視力を維持している。結論:再発が多発したのは腎不全のために抗ウイルス薬の投与量が低かったためであり,抗ウイルス薬の硝子体注射が奏効した。

参考文献

1)臼井嘉彦・竹内 大・山内康行・他:硝子体手術を施行した急性網膜壊死52例の検討.日眼会誌 114:362-368,2010
2)竹内 大:ウイルス性眼内炎(ぶどう膜炎).あたらしい眼科 28:363-370,2011
3)松田博史・秋山和英・太田昌孝・他:人工透析を受けていた高齢者の急性網膜壊死の1例.眼科 45:2011-2014,2003
4)小林桃子・市邊義章・清水公也:ガンシクロビルの硝子体注入が有効であった急性網膜壊死の1例.臨眼 59:1407-1410,2005
5)佐藤章子・宮川靖博・吹田淑子:発症早期の硝子体手術とガンシクロビルが著効した急性網膜壊死の1例.眼科手術 21:107-111,2008
6)薄井紀夫:急性網膜壊死.あたらしい眼科 20:309-320,2003
7)山本 修士:ぶどう膜炎に対するPCR法の応用.あたらしい眼科 16:749-752,1999
8)Ando Y, Terao K, Narita M et al:Quantitative analyses of cytomegalovirus genome in aqueous humor of patients with cytomegalovirus retinitis. Jpn J Ophthalmol 46:254-260, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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