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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻4号

2012年04月発行

文献概要

臨床報告

MRSAによる内因性眼内炎の1例

著者: 秋澤尉子1 長岡奈都子1 廣渡崇郎1

所属機関: 1荏原病院眼科

ページ範囲:P.541 - P.544

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要約 目的:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による内因性ぶどう膜炎の症例の報告。症例:49歳男性が2型糖尿病のためインスリン治療を受けていた。一酸化炭素中毒のあと,高気圧酸素療法と副腎皮質ステロイドのパルス療法を中心静脈栄養(IVH)下で開始した。悪寒・発熱と白血球増加があり,94日後にIVHカテーテルが除去された。カテーテル先端からMRSAが検出され,その2日後に左眼の眼痛と視力障害が生じた。所見:左眼視力は指数弁で,前房蓄膿と虹彩ルベオーシスがあった。超音波検査で発見された網膜剝離に手術を行い,採取した硝子体からMRSAが検出され,これによる内因性眼内炎と診断した。患眼は眼球癆となった。結論:抵抗性が減弱した状態では,MRSAによる内因性眼内炎がIVHに続発することがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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