今月の表紙
硝子体手術後(糖尿病網膜症)の硝子体内フィブリン析出
著者:
山本素士1
王英泰1
喜多美穂里1
寺崎浩子2
所属機関:
1兵庫県立尼崎病院眼科
2名古屋大学
ページ範囲:P.587 - P.587
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症例は60歳,男性。糖尿病網膜症の精査加療目的で紹介され,受診した。20年前から糖尿病があり,HbA1cは6.9%であった。初診時の左眼視力は(0.2)で,中等度の白内障があった。眼底には糖尿病網膜症所見と,蛍光眼底造影検査で周辺部に無灌流領域を認めた。以上より糖尿病網膜症と診断した。囊胞様黄斑浮腫が遷延したため,初診から9か月後に白内障と黄斑浮腫に対し超音波乳化吸引術+眼内レンズ挿入術,硝子体手術を行った。硝子体手術は25ゲージシステムを使用し,術中に汎網膜光凝固を追加した。術翌日に前房内にcell(+),硝子体にフィブリン析出がみられた。これらは副腎皮質ステロイド薬とNSAIDを投与し,3日後には自然消退した。囊胞様黄斑浮腫は消失し,最終視力は(0.5)であった。
撮影にはTOPCON社TRC-50IXを,パノラマ作成には同社IMAGEnet2000TMとAdobe社Photoshop®CS5を用いた。病変が広範囲に存在したので,パノラマ撮影し合成処理を行った。立体病変であるため,フォーカスに注意して撮影した。