臨床眼科66巻5号

2012年05月発行

連載 眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基本・29

―臨床編：各種眼疾患と生理活性物質とのかかわり―屈折矯正手術後の角膜創傷治癒

著者： 中澤満¹

所属機関： ¹弘前大学大学院医学研究科眼科学講座

ページ範囲：P.598 - P.601

はじめに

　本年3月号^1）と4月号^2）では，角膜上皮と角膜実質の創傷治癒に関与する生理活性物質と角膜上皮細胞ないし実質細胞とのかかわりをみてきた。そしてさらに2月号^3）でみた涙液の機能も考え合わせると，角膜創傷治癒では上皮損傷と実質損傷の程度に応じてその後の組織修復が調節されていること，さらにその調節機構にはそれぞれの細胞から分泌される生理活性物質とそれを受容する上皮細胞と実質細胞との涙液を介したさまざまな情報の交換が重要な役割を担っていることをみてきた。

　今回はその応用編として屈折矯正手術後の角膜創傷治癒機構に関してみてみたいと思う。屈折矯正手術としてレーザー屈折矯正角膜切除術（photorefractive keratectomy：PRK）とLASIK（laser in situ keratomileusis）を取り上げる。

参考文献

1）中澤　満：角膜上皮創傷治癒．眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基礎．臨眼　66：250-253，2012

2）中澤　満：角膜実質創傷治癒．眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基礎．臨眼　66：410-413，2012

3）中澤　満：涙液と生理活性物質．眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基礎．臨眼　66：156-159，2012

4）Wilson SE, Liu JJ, Mohan RR：Stromal-epithelium interactions in the cornea. Prog Retin Eye Res　18：293-309, 1999

5）Netto MV, Mohan RR, Medeiros FW et al：Femtosecond laser and microkeratome corneal flaps：comparison of stromal wound healing and inflammation. J Refract Surg　23：667-676, 2007