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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

外傷性水晶体脱臼手術の眼圧経過と視力予後

著者: 加藤睦子1 中山正1 熊瀬有美1 細川海音1 高畠まゆみ1 寺石友美子1

所属機関: 1岡山赤十字病院眼科

ページ範囲:P.685 - P.690

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要約 目的:外傷性水晶体脱臼に対する手術後の眼圧と視力の経過の報告。対象と方法:2011年2月までの38か月間に,外傷性水晶体脱臼に対して,硝子体手術と水晶体切除を施行した9例9眼を対象とした。脱臼の原因は急性期6眼(作業中5眼,交通事故1眼)と慢性期3眼(ボクシング,アトピー,転倒各1眼)で,脱臼の状態は完全脱臼4眼と亜脱臼5眼で,両群に眼内レンズ脱臼が各1眼あった。結果:8~46か月(平均20か月)の経過観察で,全例に良好な最終視力を得た。3眼(33%)で手術前後を通じ高眼圧で,2眼(22%)は術後に低眼圧が生じ,これら5眼は隅角の損傷が90°以上の範囲にあり,虹彩離断または鋸状縁断裂があった。術後の眼圧管理にはピロカルピン点眼が有効なものもあった。虹彩離断に対しては,虹彩つきソフトコンタクトレンズ装用も有効であった。結論:外傷性水晶体脱臼では,術後の眼圧管理が重要である。

参考文献

1)高谷 香・鈴木幸彦・水谷英之・他:外傷性水晶体脱臼および亜脱臼の治療成績.眼科手術 15:531-535,2001
2)大庭啓介・谷川真紀・北岡 隆・他:水晶体脱臼の術式の変化に伴う遠隔成績.臨眼 52:639-642,1998
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9)Tansu E, Mahmut K, Ozcan K:A simple closed chamber technique for repair of traumatic iridodialysis in phakic eyes. Ophthalmic Surg Lasers 31:83-85, 2001
10)河原 彩・南 政宏・今村 裕・他:歯科用30G針による虹彩離断の整復術を施行した花火外傷.眼科手術 17:271-274,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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