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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

シクロホスファミドパルス療法が奏効した再発性乳頭血管炎の1例

著者: 田中敦1 齋藤航1 吉沢史子1 大友耕太郎2 栗田崇史2 石田晋1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科医学専攻感覚器病学講座眼科学分野 2北海道大学大学院医学研究科第二内科学分野

ページ範囲:P.707 - P.712

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要約 目的:ステロイド依存性の乳頭血管炎にシクロホスファミドパルス療法が奏効した症例の報告。症例:35歳女性が1か月前からの右眼視力低下で受診した。2歳時に再発不良性貧血と診断され,シクロスポリンの投与を受けていた。所見:視力は右0.6,左1.2で,右眼に乳頭の発赤腫脹があり,乳頭血管炎と診断した。2週後に自然寛解した。3か月後に左眼視力が0.07に低下し,乳頭が蒼白浮腫状で,中心暗点と上水平半盲があった。視神経網膜炎と網膜血管炎と診断した。その3か月後に右眼に乳頭血管炎が再発し,視力は右0.4,左0.05となった。ステロイドパルス療法で右眼視力は改善したが,ステロイドの減量に伴い右眼の病変が2度再発した。シクロホスファミドを2週または4週ごとに計14回静注し,初診から35か月後の現在,視力は右1.0,左0.3に改善し,乳頭浮腫などは消失した。結論:ステロイド依存性のある再発性乳頭血管炎にシクロホスファミドが奏効することがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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