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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻6号

2012年06月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

眼圧下降後に視神経乳頭陥凹拡大が進行した外傷性緑内障の1例

著者: 澤田有1 渡部広史1 藤原聡之1 吉冨健志1

所属機関: 1秋田大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御医学系眼科学講座

ページ範囲:P.885 - P.889

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要約 目的:外傷性緑内障で,短期間で眼圧下降したものの,その後も視神経乳頭陥凹が拡大し,緑内障性視野障害をきたした症例の報告。症例:16歳男性が野球ボールで左眼を受傷し,眼圧40mmHgとなった。治療により眼圧は5日後に正常範囲に下降したが,乳頭陥凹はその後も拡大を続け,3か月後には陥凹/乳頭比は0.8となり,それに伴う緑内障性の視野障害を認めた。レーザースペックルフローグラフィと磁気共鳴血管造影(MRA)で視神経乳頭および球後の血流低下を示す所見がみられ,乳頭形態変化に影響した可能性が考えられた。結論:外傷性緑内障では眼圧下降後も乳頭陥凹拡大が進行することがあり,これには組織の血流低下が関係している可能性がある。

参考文献

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9)新家 眞:レーザースペックル法による生体眼循環測定.装置と眼科研究への応用.日眼会誌 103:871-909,1999
10)杉山哲也:レーザースペックル法を用いた視神経乳頭循環測定の基礎と臨床.眼紀 53:685-689,2002
11)鹿嶋友敬・岸 章治:レーザースペックルフローグラフィが診断に有用であった眼虚血症候群の1例.臨眼 61:1669-1675,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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