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特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著
学齢期に屈折変化を引き起こす諸要素
著者: 市岡博1 鷲見和代1
所属機関: 1市岡眼科クリニック
ページ範囲:P.891 - P.896
文献購入ページに移動要約 目的:学齢期の児童の1年間の眼軸長を測定し,全屈折力を構成する諸要素との関係を検索した結果の報告。対象と方法:屈折異常で当院を受診した5~18歳の966眼を対象とした。男児431眼,女児535眼で,眼軸長,角膜屈折力,水晶体屈折力を測定し,1年後の再測定と比較した。眼軸長はレーザー光干渉を用いるIOLMasterTMで測定した。結果:水晶体屈折力は,全体として1年後に減少し,減少量は年齢とともに低下した。角膜屈折力は,全屈折力の変化には影響が小さかった。眼軸長は,低年齢であるほど伸び量が大きかった。全屈折力の1年間の変化は11歳児で最も大きく,眼軸長の増大による割合が大きく,近視が進行しやすかった。結論:11歳前後では眼軸長の増大により近視が進行しやすい。
参考文献
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