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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻7号

2012年07月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

涙道の形態からみた機能的涙道閉塞の病態

著者: 大野木淳二1

所属機関: 1おおのぎ眼科

ページ範囲:P.1015 - P.1019

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要約 目的:涙道の通水状態が良好にもかかわらず流涙を訴える機能的涙道閉塞の病態について,鼻内視鏡所見をもとに考察した。対象と方法:流涙症患者158名316側を対象に調査した。結果:鼻内視鏡を用いて鼻涙管下部開口を形態学的な特徴から分類すると,円形開放型40側,弁状型26側,袖状型43側および癒着型207側であった。癒着型における機能的涙道閉塞57側では瞬目運動とともに蛍光色素液が下鼻道へ流出したものは7側であり,通水時に膜性鼻涙管下鼻道部が膨隆したものが39側,ほかに膿の流出12側,涙石の流出8側,出血5側などがみられた。結論:機能的涙道閉塞の原因として癒着型の鼻涙管下部開口の形態が関与するため,鼻内視鏡検査は有益である。

参考文献

1)栗橋克昭:ダクリオロジー.95-96,メディカル葵出版,東京,1998
2)大野木淳二:涙道の解剖と治療に潜むリスク.眼科手術 24:150-154,2011
3)鈴木 亨:流涙症の原因と包括的アプローチ.眼科手術 22:143-147,2009
4)横井則彦・渡辺彰英・荒木美治:眼表面から見た流涙症.眼科手術 22:149-154,2009
5)柿崎裕彦:眼瞼から見た流涙症.眼科手術 22:155-159,2009
6)井上 康:涙道から見た流涙症―確実な涙管チューブ挿入術.眼科手術 22:161-166,2009
7)佐々木次壽:涙道から見た流涙症―観血的治療.眼科手術 22:167-172,2009
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11)Wormald PJ, Tsirbas A:Investigation and endoscopic treatment for functional and anatomical obstruction of the nasolacrimal duct system. Clin Otolaryngol 29:352-356, 2004
12)大野木淳二:下鼻道法におけるシース誘導チューブ挿入法の応用.眼科手術 22:561-564,2009
13)栗橋克昭:眼瞼下垂と涙道閉塞―涙道閉塞の原因としての開瞼機能低下と交感神経緊張症.臨眼 60:661-671,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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