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特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著
他覚的屈折度を30年以上追えた571眼症例の屈折度の変化
著者: 河鍋楠美1
所属機関: 1蕨眼科
ページ範囲:P.1053 - P.1057
文献購入ページに移動要約 目的:初診時より30年以上の経過を追った571眼での他覚的屈折の変化の報告。対象と方法:眼科の1診療所で30年以上の経過を観察した294名571眼を対象とした。白内障,緑内障,強度乱視などの症例は除外した。調節麻痺状態で全例を他覚的屈折計で検査した。初診時年齢は1~59歳で,240眼(42%)が18歳未満,156眼(27%)が40歳以上であった。全例を初診時年齢により7群に分け,30年間の屈折の変化を検索した。結果:18歳未満の240眼では,30年後の屈折が217眼(90%)で近視側に変化した。40歳以上の156眼では,30年後の屈折が99眼(63%)で遠視側に,40眼(26%)で不変,17眼(11%)で近視側に変化した。19~29歳までの年齢層では,屈折はほぼ安定していた。結論:30年間の観察で,近視化の傾向は初診時年齢が18歳までは高く,30歳を過ぎると遠視化の傾向が生じた。
参考文献
1)Lee KE, Klein BE, Klein R et al:Changes in refraction over 10 years in an adult population:the Beaver Dam Eye study. Invest Ophthalmol Vis Sci 43:2566-2571, 2002
2)中川真紀,坂上達志:生後6カ月以内に発症した内斜視多数例の長期間自然経過観察.眼臨紀 2:129-135,2009
3)河鍋楠美:オートレフによる屈折度の経年変化.眼臨 87:156-160,1993
4)河鍋楠美:集団検診における裸眼視力別河鍋楠美節検査.第46回日本臨床眼科学会,1993
5)河鍋楠美:Ⅲ.屈折検査.2.学童期.眼科診療プラクティス9(屈折異常の診療).99-103,1994
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