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書評
WHOをゆく 感染症との闘いを超えて
著者: 押谷仁1
所属機関: 1東北大学大学院・微生物学
ページ範囲:P.1184 - P.1184
文献購入ページに移動 著者の尾身茂先生は2009年に帰国されるまで,20年間近くにわたり世界保健機関(WHO)の西太平洋事務局(WPRO)で活躍されてきた。前半は感染症の対策官としてポリオ根絶などの課題に取り組み,後半の10年間はWPROの地域事務局長として西太平洋地域の保健・衛生全体の責任者としてSARS(重症急性呼吸器症候群)への対応などでリーダーシップを発揮された。そのWHO勤務の間に経験した,ポリオ・結核・SARS・鳥インフルエンザなどの対策に当たった経験をまとめたものが本書である。
2003年のSARSの流行でも明らかになったように,21世紀の感染症対策にはグローバルな視点からの対応が必要である。しかし国際的な感染症対策の現場には多くの困難がある。本書ではそのような困難な現場で,尾身先生がいかにして1つ1つ問題を解決し道を切り拓いてきたかが,いくつかのエピソードを交えながらダイナミックに描かれている。またWHOでの感染症対策だけでなく,尾身先生が日本に帰国してすぐに発生した2009年の新型インフルエンザに,国の諮問委員会の委員長として対応に当たった際の出来事や,東日本大震災への支援についても述べられている。さらには,日本の社会の根底にある問題を見据えて,日本の医療や地域の公衆衛生のあるべき姿についても多くの示唆に富む提言がなされている。
2003年のSARSの流行でも明らかになったように,21世紀の感染症対策にはグローバルな視点からの対応が必要である。しかし国際的な感染症対策の現場には多くの困難がある。本書ではそのような困難な現場で,尾身先生がいかにして1つ1つ問題を解決し道を切り拓いてきたかが,いくつかのエピソードを交えながらダイナミックに描かれている。またWHOでの感染症対策だけでなく,尾身先生が日本に帰国してすぐに発生した2009年の新型インフルエンザに,国の諮問委員会の委員長として対応に当たった際の出来事や,東日本大震災への支援についても述べられている。さらには,日本の社会の根底にある問題を見据えて,日本の医療や地域の公衆衛生のあるべき姿についても多くの示唆に富む提言がなされている。
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