臨床眼科66巻8号

2012年08月発行

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集（6） 原著

黄斑疾患への23ゲージ硝子体手術時に内視鏡で周辺部処理をした場合の成績

著者： 大久保朋美¹ 一色佳彦¹ 森哲¹ 劉百良¹ 林良達¹ 宮原晋介¹

所属機関： ¹小倉記念病院眼科

ページ範囲：P.1215 - P.1218

要約　目的：内視鏡を併用した硝子体手術で，術中に発見した周辺部の眼底病変の報告。対象と方法：過去20か月間に黄斑円孔18眼と黄斑上膜38眼に対して23ゲージ硝子体手術を行った54例56眼を対象とした。男性26眼，女性30眼で，年齢は48～86歳（平均68歳）である。全症例につき，内視鏡で周辺部眼底を観察した。50眼（89％）で白内障手術を併用した。結果：術中の内視鏡による検索で，周辺部網膜の病変が9眼（16％）に発見された。その位置は7眼が5～7時方向にあった。術後に低眼圧が3眼，網膜剝離が1眼に生じた。結論：硝子体手術時の内視鏡による観察で，16％の症例に周辺部網膜病変を発見できた。

参考文献

1）橋本浩隆・筑田　眞・小原喜隆：23G経結膜無縫合硝子体手術システムの使用経験．眼科手術　23：159-162，2010

2）岡野　正・松野員寿：糖尿病網膜症の内視鏡硝子体手術での基底部硝子体郭清．眼紀　57：618-622，2006

3）喜多美穂里：硝子体手術．内視鏡手術．臨眼　65：156-161，2011

4）星合　繁・花田斉久・鈴木茂揮・他：特発性黄斑上膜手術に対する23ゲージシステムの使用成績．臨眼　62：1741-1744，2008

5）佐久間俊郎・田中　稔・葉田野宣子・他：特発性黄斑円孔の手術成績及び後眼部合併症について．眼科手術　16：117-122，2003

6）曽和万紀子・前野貴俊・片岡英樹・他：Stage 2黄斑円孔に対する硝子体手術の術式による手術成績の比較．臨眼　60：1787-1789，2006

7）尾花　明・郷渡有子・和田園美・他：黄斑上膜除去手術成績の検討．眼科手術　14：253-256，2001

8）山西茂喜・恵美和幸・本倉雅信・他：特発性黄斑円孔手術に対する内境界膜剝離と視力予後．日眼会誌　105：788-793，2001

9）香留　崇・内藤　毅・賀島　誠・他：特発性黄斑円孔手術における内境界膜剝離法と非剝離法の手術成績．臨眼　58：959-962，2004

10）館奈保子・芳村賀洋子・橋本義弘：23G経結膜硝子体手術の利点と合併症．眼臨　100：460-461，2006

11）宮谷寿史・越生　晶・浅井源之・他：裂孔原性網膜剝離の統計的観察．眼臨　82：1950-1954，1988

12）寺島寛隆・原田　学：双葉厚生病院における網膜剝離手術の現況．福島県農村医学会雑誌　47：11-12，2005

13）門田裕子・沖坂重邦・橘渡正吾：裂孔原性網膜剝離の臨床統計．埼玉県医学会雑誌　16：5-8，1982