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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科66巻9号

2012年09月発行

文献概要

特集 第65回日本臨床眼科学会講演集(7) 原著

鼻性視神経症を呈した多発性硬化症の1例

著者: 笠井真央1 多田憲太郎1 岸茂1 小森正博2 福島敦樹1

所属機関: 1高知大学医学部眼科学講座 2高知大学医学部耳鼻咽喉科学講座

ページ範囲:P.1349 - P.1352

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要約 目的:多発性硬化症の既往がある患者に鼻性視神経症が発症した報告。症例:81歳男性が3日前からの右眼の視力と視野障害で受診した。18年前に両眼の視力障害があり,自然寛解した。その6か月後に下肢麻痺があり,多発性硬化症と診断された。その2年後に両眼に視力障害が生じ,ステロイドパルス療法が行われたが,左眼の視力が光覚弁となった。17年前に副鼻腔炎の手術を受けた。所見と経過:矯正視力は右0.08,左光覚弁であり,MRIで,篩骨洞に境界が明瞭な囊胞があり,鼻性視神経症が疑われた。右視神経管開放術が行われ,右眼視力は3日後に0.2,75日後に0.6に改善し,視野はほぼ正常化した。結論:多発性硬化症の既往があるが,本症例での視神経症は副鼻腔に原因があった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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