文献詳細
特集 新しい緑内障手術
文献概要
はじめに
わが国では,発達緑内障や若年者,早期の原発開放隅角緑内障に対する手術として,線維柱帯切開術はなじみの深い術式であり,視機能の喪失につながる合併症のほとんどない安全な術式と考えられている。しかし,海外の事情は異なり,むしろ合併症が多く煩雑な手術として敬遠される傾向にあった。こうした状況のなか,G. Baerveldt氏とR. Chuck氏によって「Trabectome®」(NeoMedix社,米国)という手術装置が開発された。米国でのFDAの承認は2004年である。その後,前田ら1)や渡邉2)によってわが国にも紹介され,2010年9月に厚生労働省の認可がおり,北里大学病院でも同年12月に導入された。今回紹介するTrabectome®手術は,海外ではtrabeculectomy ab interno(つまり線維柱帯切除術の一つ)として紹介されることもあり3,4),分類が定まっていない感があるが,わが国ではtrabeculotomy ab interno(つまり線維柱帯切開術の一つ)と考えられている。また,隅角部の操作が主体になるので,iStent®(Glaukos社,米国)のように器具を留置するものではないが,結膜を温存し,眼内からアプローチするという意味で,隅角手術の一つと考えてもよいと思う。
本稿では,短期ではあるが,Trabectome®手術の成績とともに,手技のコツや術後のフォローアップなどについて具体的に触れていきたい。
わが国では,発達緑内障や若年者,早期の原発開放隅角緑内障に対する手術として,線維柱帯切開術はなじみの深い術式であり,視機能の喪失につながる合併症のほとんどない安全な術式と考えられている。しかし,海外の事情は異なり,むしろ合併症が多く煩雑な手術として敬遠される傾向にあった。こうした状況のなか,G. Baerveldt氏とR. Chuck氏によって「Trabectome®」(NeoMedix社,米国)という手術装置が開発された。米国でのFDAの承認は2004年である。その後,前田ら1)や渡邉2)によってわが国にも紹介され,2010年9月に厚生労働省の認可がおり,北里大学病院でも同年12月に導入された。今回紹介するTrabectome®手術は,海外ではtrabeculectomy ab interno(つまり線維柱帯切除術の一つ)として紹介されることもあり3,4),分類が定まっていない感があるが,わが国ではtrabeculotomy ab interno(つまり線維柱帯切開術の一つ)と考えられている。また,隅角部の操作が主体になるので,iStent®(Glaukos社,米国)のように器具を留置するものではないが,結膜を温存し,眼内からアプローチするという意味で,隅角手術の一つと考えてもよいと思う。
本稿では,短期ではあるが,Trabectome®手術の成績とともに,手技のコツや術後のフォローアップなどについて具体的に触れていきたい。
参考文献
1)前田征宏・渡辺三訓・市川一夫:Trabectome.IOL & RS 24:309-312,2010
2)渡邉三訓:トラベクトーム(Trabectome)手術装置.眼科手術 24:317-321,2011
3)Francis BA, See RF, Rao NA et al:Ab interno trabeculectomy:development of a novel device(Trabectome)and surgery for open-angle glaucoma. J Glaucoma 15:68-73, 2006
4)Minckler D, Mosaed S, Dustin L et al:Trabectome(Trabeculectomy―internal approach):additional experience and extend follow-up. Trans Am Ophthalmol Soc 106:149-159, 2008
5)Knape RM, Smith MF:Anterior chamber blood reflux during trabeculectomy in an eye with previous trabectome surgery. J Glaucoma 19:499-500, 2010
6)Jea SY, Mosaed S, Vold SD et al:Effect of a failed trabectome on subsequent trabeculectomy. J Glaucoma 21:71-75, 2012
outcomes. Ophthalmic Surg Lasers Imaging 41:443-451, 2010
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