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特集 新しい緑内障手術
Trabectome®
著者: 庄司信行1
所属機関: 1北里大学医療衛生学部視覚機能療法学
ページ範囲:P.22 - P.29
文献購入ページに移動わが国では,発達緑内障や若年者,早期の原発開放隅角緑内障に対する手術として,線維柱帯切開術はなじみの深い術式であり,視機能の喪失につながる合併症のほとんどない安全な術式と考えられている。しかし,海外の事情は異なり,むしろ合併症が多く煩雑な手術として敬遠される傾向にあった。こうした状況のなか,G. Baerveldt氏とR. Chuck氏によって「Trabectome®」(NeoMedix社,米国)という手術装置が開発された。米国でのFDAの承認は2004年である。その後,前田ら1)や渡邉2)によってわが国にも紹介され,2010年9月に厚生労働省の認可がおり,北里大学病院でも同年12月に導入された。今回紹介するTrabectome®手術は,海外ではtrabeculectomy ab interno(つまり線維柱帯切除術の一つ)として紹介されることもあり3,4),分類が定まっていない感があるが,わが国ではtrabeculotomy ab interno(つまり線維柱帯切開術の一つ)と考えられている。また,隅角部の操作が主体になるので,iStent®(Glaukos社,米国)のように器具を留置するものではないが,結膜を温存し,眼内からアプローチするという意味で,隅角手術の一つと考えてもよいと思う。
本稿では,短期ではあるが,Trabectome®手術の成績とともに,手技のコツや術後のフォローアップなどについて具体的に触れていきたい。
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