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医療法学入門 フリーアクセス
著者: 渋谷健司1
所属機関: 1東大・国際保健政策学
ページ範囲:P.40 - P.40
文献購入ページに移動医師であり,弁護士でもある著者らの医療従事者へのまなざしは,寄り添うように温かい。本書は,よくある判例の羅列や味気ない法律の条文の解説ではない。各章が明快なメッセージで統一されて書かれているので,上質のエッセイを読むかのごとくページが進む。序文にある著者らの決意表明が心地よい。増え続ける司法の介入に対して,「何よりも問題なのは,医学・医療の知識もなく,医療現場に対し何等の責任もとらない刑法学者等が空理空論で“正義”を振りかざしたこと」であり,「医療を扱う法学は実学でなければ」ならず,「医療を行う医師,医療を受ける患者という生身の人間から離れず,多数の制限下において現実に行われている医療現場から規範を形成する『医療法学』こそが必要」だと説く。
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