臨床眼科67巻10号

2013年10月発行

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集（8） 原著

角膜ジストロフィに対する治療的角膜切除術の検討

著者： 井上留美子¹ 笠岡政孝¹ 門田遊¹ 山川良治¹

所属機関： ¹久留米大学医学部眼科学講座

ページ範囲：P.1719 - P.1723

要約　目的：角膜ジストロフィに対する治療的角膜切除術（PTK）の治療成績について検討する。症例：臨床的に顆粒状角膜ジストロフィと考えられ，角膜実質浅層にびまん性の混濁を有する症例に対しPTKを施行し6か月以上経過観察できた16例31眼で，手術時平均年齢67.3±10.6歳，術後平均観察期間26.0±25.0か月であった。結果：31眼中23眼（74％）に2段階以上の視力の改善を認めた。術後6か月の平均屈折値は術前と比べ＋0.72D遠視化し，術後比較が可能であった平均コントラスト感度はすべて改善した。結論：PTKは角膜実質浅層の病変に対して有効な治療法であると考えられた。

参考文献

1）Zuckerman SJ, Aquavella JV, Park SB：Analysis of the efficacy and safety of excimer laser PTK in the treatment of corneal disease. Cornea　15：9-14, 1996

2）上野あづみ・太田浩一・福井えみ・他：信州大学における5年間の治療的角膜除去術症例の検討．眼科手術　20：119-122，2007

3）井上智之・井上由美子・長谷川利英・他：エキシマレーザー治療的角膜切除術における角膜厚の変化および術後矯正視力に影響を与える因子．眼紀　47：1078-1081，1996

4）大喜多隆秀・冨井　聡・横井則彦・他：顆粒状角膜変性症に対する治療的エキシマレーザー表層角膜切除術後の再発．眼紀　50：645-650，1999

5）高橋次郎・伊東眞由美・伏見典子・他：エキシマレーザー治療的角膜切除術（PTK）術後の臨床成績について．眼科　39：1395-1405，1997

6）佐々木秀憲・加藤卓次・村井恵子・他：順天堂医院におけるPTK症例の検討．眼科手術　17：233-236，2004

7）Amano S, Oshika T, Tazawa Y et al：Long-term follow-up of excimer laser phototherapeutic keratectomy. Jpn J Ophthalmol　43：513-516, 1999

8）Weiss JS, Møller HU, Lisch W et al：The ICD3D Classification of the corneal dystrophies. Cornea　27（suppl 2）：S1～S83, 2008

9）山出新一・黄野桃世：コントラスト感度の考え方．眼科　33：57-68，1991