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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻10号

2013年10月発行

文献概要

文庫の窓から

『蘭室秘蔵』

著者: 中泉行弘1 林尋子1 安部郁子1

所属機関: 1研医会

ページ範囲:P.1774 - P.1777

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弟子・羅天益が出版した東垣の病門別医書

 李東垣の残した治験記録は1249年までしかなく,『蘭室秘蔵』の成立は著者李東垣の亡くなった年,1251年とされている。『蘭室秘蔵』とは『素問』『霊枢』にみえる「霊蘭之室」という黄帝の書庫を指す言葉から作られた名であるが,真柳誠氏は『和刻漢籍医書集成』第6輯所収「『内外傷弁惑論』『脾胃論』『蘭室秘蔵』 解題」の中で,「本書名の謂は,東垣の「霊蘭の室」に秘蔵されていた書である。もちろん自らを黄帝に比すなど,たとえ東垣でもあろうはずはない。ならば本書の序に,「吾師弗自私蔵,以公諸人」と記す天益が,この書名を付けたと考えられる」と述べている。また,「先師」という言葉を使ってその治療について述べている部分を指摘して,この本は李東垣の命を受けた最後の弟子である羅天益が,師の死後1266年ごろまでにまとめ上げて1276年に刊行した書物である,と解説されている(参考文献2)。

 当館には3つの『東垣十書』があり,それぞれ『蘭室秘蔵』を収載している。

参考文献

1)岡西為人:中国醫書本草考.井上書店,1974
2)真柳 誠:『内外傷弁惑論』『脾胃論』『蘭室秘蔵』解題『和刻漢籍医書集成』第6輯所収.エンタプライズ,1989
3)半田喜久美:私の漢方眼科学.源草社,2009
4)焦 樹徳(著),国永 薫(訳):名医が語る生薬活用の秘訣.東洋学術出版社,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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