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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科67巻12号

2013年11月発行

雑誌目次

特集 抗VEGF薬をどう使う?

多施設研究最新情報

著者: 安川力

ページ範囲:P.1810 - P.1816

はじめに

 ラニビズマブ(ルセンティス®)は滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)の治療薬として2009年にわが国でも承認され,滲出型AMDの平均視力を初めて改善させる抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬として,しばらく市場を独占してきた。しかし薬価が高額なこともあり,直腸癌の治療薬であるベバシズマブ(アバスチン®)の適応外使用も世界的に黙認され,社会的問題となっている。その後,ようやく新規抗VEGF薬としてアフリベルセプト(アイリーア®)が2012年に承認された。この薬はラニビズマブよりも薬価が安いうえ,強い効果と投与回数を減らせる可能性があり,国内シェアトップとなりつつある。適応拡大に向けた動きも激しく,製薬企業をスポンサーにつけた多施設臨床試験が全世界的に多数行われ,ラニビズマブが,網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫と近視性脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)に対して使用可能となり,糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)に対しても承認される予定である。近い将来,アフリベルセプトも同様に適応拡大されることであろう。本稿では,疾患別に最近の多施設研究の主なものについて紹介する(表1)。

 ところで,製薬企業主導の多施設研究は薬剤の販売を目的としている。緻密に計画された大規模臨床試験の結果は,evidence-based medicine(EBM)という言葉が後押しして販売推進の根拠として利用され,製薬会社のマーケティング戦略に医師が踊らされる構図となっている。高いエビデンスとして利用される一方,販売に都合のよいデータのみを強調し,都合の悪いデータには触れずに講演会などで販売促進が行われている。また,個別化医療を目指す観点で貴重な情報を含む少数例の報告はエビデンスレベルが低いと無視され,標準的な治療のみを推奨する風潮がある。これは緑内障の分野などでも同じであるが,医師主導の大規模臨床試験であるCATTスタディなどで,抗VEGF薬が脳梗塞のリスクであることや,滲出型AMDは長い経過の中で地図状萎縮が多く併発し,視力低下の原因となり,ラニビズマブの注射回数がリスクに挙げられるなど,高額医療費の問題だけでなく,副作用にかかわる報告も出てきているため,重大な課題であることを医師が認識する必要がある。

加齢黄斑変性に対するラニビズマブの実践的投与方法

著者: 髙橋寛二

ページ範囲:P.1818 - P.1828

はじめに

 ラニビズマブ(ルセンティス®)は視力改善を狙える滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)の治療薬として,2009年3月にわが国で発売され4年以上が経過した。この間,6万名を超える症例に計44万本以上が使用された。ラニビズマブの使用によって,AMD患者には視力改善がもたらされたが,改善した視力を維持する難しさと労力については,AMD診療を行う誰もが経験するところである。さらにこの薬剤には,ノンレスポンダー(無反応例)や,使用中に効果が減弱する症例(タキフィラキシー,トレランス)の存在1~3)が判明し,4年,7年の長期経過では平均視力は徐々に低下していくことが明らかになっている4,5)。本稿では,過去4年間の経験を踏まえたラニビズマブの実践的投与方法について,私見を交えて記してみたい。

抗VEGF療法の理論と加齢黄斑変性に対するアフリベルセプトの使い方

著者: 吉澤史子 ,   石田晋

ページ範囲:P.1830 - P.1838

はじめに

 現在,加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)に対する治療の大きな位置を占めているのが,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)阻害薬である。わが国では,大腸癌を適応としながら眼内使用未認可のまま世界的に広まった中和抗体製剤のベバシズマブのほか,AMDを適応疾患として,ペガプタニブ,ラニビズマブが2008年,2009年と相次いで厚生労働省の認可を受けた。2012年末からは,さらに3剤目のアフリベルセプトが使用可能となった。これら3剤は,基本構造だけをみても,ペガプタニブはアプタマーという修飾RNA分子,ラニビズマブは中和抗体可変領域断片,アフリベルセプトは2つのVEGF受容体融合蛋白であり,創薬デザインが大きく異なっている(表1)。その薬剤特性の相違点を把握しておくことは,治療の選択肢が増え,複雑化しつつあるAMD治療戦略を立てるうえで非常に重要である。

 また,多数の臨床試験が報告されているが,なかでもMARINAと呼ばれる第Ⅲ相ランダム化対照試験(randomized controlled trial:RCT)は,ラニビズマブが,AMD治療において平均視力を改善させることのできた最初の薬剤として注目を浴びる結果となった1)。その後,PrONTOと呼ばれるオープンラベル非対照試験で,導入期(治療開始後3回のラニビズマブ毎月注射)に得られた視力改善を,「必要に応じて(pro re nata:PRN)」によって維持できるか否かが検討された2)。PRN投与のプロトコールとして,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)による網膜厚100μm以上の増加または視力5文字以上の低下を再投与のタイミングとした。37眼の2年成績では,平均9.9回の投与で11.1文字の改善(毎月投与に匹敵する結果)が得られたことから,ラニビズマブは維持療法においても有用であることが示唆され,複数のVEGF阻害薬のなかで,ラニビズマブの使用を大きく広げることとなった。

 しかし,最近ではラニビズマブの治療抵抗例が報告されるようになり3,4),この時期に登場したのがアフリベルセプトである。本稿では,アフリベルセプトと他のVEGF阻害薬の作用機序の違いを概説したうえで,臨床試験の紹介,そして具体的に臨床例を提示しながらアフリべルセプトを用いた治療戦略と今後の課題を述べていく。

ペガプタニブとベバシズマブの特性と使い方

著者: 本田美樹

ページ範囲:P.1840 - P.1848

はじめに

 ペガプタニブナトリウム(マクジェン®:以下,ペガプタニブ)とベバシズマブ(アバスチン®)は両者とも血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の阻害薬として開発された薬剤ではあるが,薬剤の性状,開発の経緯,適応症など両者にはさまざまな違いがある。

 ペガプタニブは滲出性加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)に対し2008年に日本で承認された核酸医薬品で,その後,糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)に対して臨床試験が行われたが,その結果は未報告である。しかし,網膜静脈閉塞症(central retinal vein occulsion:CRVO,branch retinal vein occulsion:BRVO),強度近視性脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)などほかの眼科疾患に対しては多くの臨床研究結果が報告されている。一方,ベバシズマブは2004年に初めて転移性大腸癌に対して米国食品医薬局(FDA)で承認された抗VEGF抗体であり,眼科疾患に対しては未承認使用(off-label use)であるが,眼内の新生血管抑制に絶大な効果を示すため,多くの眼疾患に使用されている。

 本稿ではペガプタニブとベバシズマブの使用方法と治療効果について,臨床研究結果を含め解説する。なお,使用に関して現在保険適応が認められているのはAMDに対するペガプタニブのみであることを明記しておく。

PDTとの併用療法

著者: 森實祐基 ,   白神史雄

ページ範囲:P.1850 - P.1859

はじめに

 現在,加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)に対する治療法の第一選択は抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬である。しかし,抗VEGF薬に抵抗する症例が少なからず存在し,そのために治療回数や診察回数が急激に増加している。このような治療および診察回数の増加は,治療に伴う眼合併症や全身副作用のリスク,そして患者の経済的負担の増大につながり,医学的にも医療経済的にも重大な問題である。そのため,抗VEGF薬の治療回数を減らす目的で他の治療法との併用療法が試みられてきた。

 現在,抗VEGF薬と併用する治療法,薬剤としては主に光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)とステロイドが挙げられる。本稿ではそのなかでも特に,抗VEGF薬とPDTの併用療法の現状について,近年のランダム化比較試験の結果をもとに解説する。

今月の表紙

小口病 金箔様眼底

著者: 山田達矢 ,   寺崎浩子

ページ範囲:P.1802 - P.1802

 症例は61歳,男性。2009年12月,両眼網膜色素変性疑いで紹介され受診した。初診時の視力は右(0.6p),左(1.2p),眼圧は右15mmHg,左12mmHgであった。前眼部には特記する所見はないが,両眼中間周辺部網膜には金箔様反射がみられた。

 明順応時では写真のように金箔様反射がみられることがわかる。当院では暗順応を2時間行い撮影した結果,金箔様反射は消失し眼底所見は正常となった(水尾-中村現象)。

連載 今月の話題

補償光学を用いた眼底評価

著者: 伊藤逸毅

ページ範囲:P.1803 - P.1809

 眼底撮影の方法には,眼底カメラ,走査レーザー検眼鏡,光干渉断層計などがあるが,いずれの方法においても,その解像度には,角膜や水晶体で発生する収差のために光学的な限界がある。この収差を軽減し,眼底撮影の解像度の限界を飛躍的に向上させるシステムが補償光学である。

何が見える? 何がわかる? OCT・第11回

神経線維層を評価してみよう―正常像と視神経疾患

著者: 溝上志朗

ページ範囲:P.1860 - P.1865

Point

◎乳頭周囲神経線維層厚の解析では正常バリエーションに注意する。

◎乳頭周囲神経線維層の3次元画像解析は視神経疾患の鑑別に有用である。

基礎からわかる甲状腺眼症の臨床

甲状腺眼症の治療「眼瞼の位置異常は注射で治る?」の巻!

著者: 木村亜紀子

ページ範囲:P.1866 - P.1870

はじめに

 甲状腺眼症には特徴的な眼瞼症状があります。学生時代,試験問題によく出たDalrymple sign(ダルリンプルサイン),von Graefe徴候(グレーフェ徴候)などです。これらの眼瞼症状は甲状腺眼症に特徴的ではありますが,これまで,積極的な治療法についての記載はあまり目にしなかったのではないでしょうか。ところが,最近,これらの眼瞼症状は角膜に悪さをしているとする論文が発表されました。見た目だけの問題ではなかったのです。

 本稿では,当院で施行している実際の眼瞼症状に対する治療を解説します。

やさしい目で きびしい目で・167

“かんげき”の“カンゲキ”

著者: 坂口紀子

ページ範囲:P.1871 - P.1871

 毎日押し寄せてくる仕事,家事諸々。自分だけのために使う時間はどうしても後回しになってしまう。そんななかでも,肩の力を抜いて心を休ませ,リセットすることは大切である。それぞれの方がそういう何かをもっておられると思う。私にとって,その1つが観劇で,かれこれ27年間,約2か月に1作のペースでお芝居を観てきた。他の地域にも同じようなシステムがあるが,ここ岡山では3人以上が集まって1つのグループを作り,このグループ(=サークル)が集まった4,200人余の演劇鑑賞団体がある。私はそれに所属している。会では,会員自らが演目の選択,会場の運営,会員同士や劇団員との交流行事などを行っている。

 最初に入会したのは大学時代で,子供たちが小さい頃は一時休会した。初めはサークルの代表者に会費を渡して,観に行くだけの会員であった。ところが数年前に独立(これを株分けと呼ぶ)させられ,今では20名のサークル員をかかえて会費の徴収やチケットの配布などをお世話する立場になった。そのうえ,年間6つの作品のうち1作品には会の運営担当(事前講演会の準備と運営,会報誌の編集,会場入り口での切符もぎり,場内整理,アナウンスなど…)としてかかわらなければならない。

臨床報告

眼灌流液中にガラスアンプルによるガラス片異物を認めた1例

著者: 助川俊之

ページ範囲:P.1875 - P.1878

要約 目的:内眼手術時の散瞳維持目的に術前点眼処置や,眼灌流液へのエピネフリンの添加などが行われている。今回,エピネフリンのガラスアンプル製剤から眼灌流液にガラス片異物が混入した症例を経験したので報告する。症例:水晶体再建術を施行時,前房内に異物を認め,超音波チップにて確保,摘出した。所見:異物は約1mm×1.5mmで,残余眼灌流液にも15~113μm大のガラス片様異物を12個認めた。エネルギー分散形X線分光器にてSi,O,Alが検出され,ガラス由来物質と推定された。再現実験にてガラスアンプルから異物が混入することが確認された。結論:ガラスアンプル製剤はアンプルカット時にガラス片異物が発生し,薬液に混入する。

久留米大学病院における真菌性角膜炎の検討

著者: 山本昇伯 ,   石井美奈 ,   門田遊 ,   熊谷直樹 ,   山川良治

ページ範囲:P.1879 - P.1883

要約 目的:久留米大学病院で過去9年間に経験した真菌性角膜炎の報告。対象と方法:2010年までの9年間に診断治療した真菌性角膜炎30例30眼を対象とした。男性14例,女性16例で,年齢は32~87歳,平均65歳である。診断は角膜病巣部の検鏡または分離培養で行った。結果:検出菌は糸状菌21例,酵母菌9眼であった。全例に角膜擦過を行い,16例はこれに加えた抗真菌薬の局所および全身投与で治癒し,14眼では結膜被覆術や表層角膜移植術などの追加手術で治癒した。最終視力は手術を必要とした症例で不良であった。22例で糖尿病または受診前にステロイド点眼による治療があり,うち13例(59%)が手術を必要とした。結論:糖尿病またはステロイド使用による免疫低下状態があると,真菌性角膜炎の予後が不良になる。

視野の加齢性変化

著者: 林泰博

ページ範囲:P.1885 - P.1888

要約 目的:動的視野の加齢による変化の報告。対象と方法:65歳以上の68症例につき,Goldmann動的視野を測定した。水晶体の加齢による影響を除外するために,全例が白内障手術を受けていた。症例を65歳以上で75歳未満の前期高齢者群12例,75歳以上で85歳未満の後期高齢者群38例,85歳以上の超高齢者群18例に振り分けた。年齢が27~49歳,平均41歳で,有水晶体眼で白内障がない青壮年者群18例を対照として,結果を比較した。視野として,Ⅰ-4とⅠ-2イソプタの面積をコンピュータで測定した。結果:青壮年者群では,他の3群よりも視野が広かった。前期高齢者群では,後期または超高齢者群よりも視野が広かった。後期高齢者群と超高齢者群の問には視野面積に差がなかった。結論:白内障手術を受けた65歳以上の高齢者の視野面積は,有水晶体眼で白内障がない49歳未満の青壮年者よりも狭かった。85歳を境とする後期高齢者と超後期高齢者とでは視野面積に差がなかった。

プロスタグランジン関連薬単剤使用例へのブリモニジンの追加効果

著者: 林泰博 ,   林福子

ページ範囲:P.1889 - P.1892

要約 目的:プロスタグランジン関連薬で治療中の緑内障患者に,2剤目としてブリモニジン点眼を追加したときの効果と副作用についての報告。対象と方法:3か月以上プロスタグランジン関連薬で治療中の緑内障患者17例17眼を対象とした。男性4例,女性13例で,年齢は38~86歳,平均76歳である。0.1%ブリモニジン点眼を追加し,1か月と3か月後に眼圧,血圧,脈拍数を測定した。結果:ブリモニジン開始前の平均眼圧は12.2±2.9mmHg,1か月後は10.1±2.0mmHg(p=0.002),3か月後は9.7±1.8mmHg(p=0.003)と,いずれも有意に低下した。全身の拡張期血圧は追加点眼開始1か月後に有意に下降したが,自覚症状はなかった。3か月の観察期間中に点眼中止を必要とした症例はなかった。結論:プロスタグランジン関連薬で治療中の緑内障患者へのブリモニジン点眼追加により,さらなる眼圧下降効果が得られ,重大な副作用はなかった。

側頭動脈炎による両眼前部虚血性視神経症の1例

著者: 永井博之 ,   玉井一司 ,   山田麻里

ページ範囲:P.1893 - P.1898

要約 目的:両眼に前部虚血性視神経症が発症した側頭動脈炎の症例の報告。症例:84歳女性が5日前からの右眼視野障害で受診した。糖尿病と高血圧があり,加療中であった。所見:矯正視力は右光覚弁,左1.5で,両眼に乳頭の蒼白化があった。左眼に視野狭窄があった。両眼前部虚血性視神経症の診断で,ステロイドパルス療法を開始した。白血球増加と赤沈亢進があった。右浅側頭動脈の生検で,リンパ球などの炎症細胞浸潤と多核巨細胞を伴う肉芽腫性炎症があり,側頭動脈炎と診断した。発症から4か月後の現在,再発はなく,矯正視力は右0,左1.2である。結論:側頭動脈炎による両眼の前部虚血性視神経症に対してステロイドパルス療法を行い,片眼の視機能を維持できた。

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欧文目次

ページ範囲:P.1801 - P.1801

べらどんな Meibom先生

著者:

ページ範囲:P.1859 - P.1859

 「マイボーム腺」のことは眼科医ならだれでも知っている。しかし,その機能について正確に答えるのは難しい。

 眼瞼縁に眼脂があると,涙がこぼれない。それだけでなく,閉瞼したときに瞼裂が完全に閉鎖するし,さらに眼瞼皮膚が涙で膨潤することを防ぐ効果がある。

ことば・ことば・ことば ゼミ

ページ範囲:P.1874 - P.1874

 大学に入学すると,どれかのゼミナールに所属し,専門の勉強をする習慣があります。これは法学部あたりに多いようです。略称は「ゼミ」です。近頃では学会などが主催する講習会をこう呼ぶこともあります。「ゼミナール」はドイツ語なので,英語が好きな方は「セミナー」と発音されます。

 ゼミナールの本当の意味が気になりました。これにはまず語源から調べるのが簡単です。英語で書いた語源辞典には,「ラテン語のsemenから来ている」と書いてあります。精子と関係があるのかとちょっと驚きましたが,顕微鏡がない古代ローマ時代ではsemenは「種」のことでした。

べらどんな 角膜異物

著者:

ページ範囲:P.1898 - P.1898

 ふと気がついたら,トンボが飛んでいるのを見ないようになった。アカトンボは今でも目にするが,オニヤンマには長いあいだ会ったことがないし,シオカラトンボも姿を消している。

 「沈黙の春」という本がアメリカで1962年に出版された。もう半世紀前になる。原題はSilent Springで,Rachel Carson(1907-1964)がその著者である。農薬またはマラリア予防のためにDDTの大量散布が行われるようになり,その結果として虫も減ったが,さらに鳥もいなくなり,春になってもその歌声が聞けなくなった。

公益信託 須田記念緑内障治療研究奨励基金 平成25年度 募集要項

ページ範囲:P.1900 - P.1900

 公益信託須田記念緑内障治療研究奨励基金は,熊本大学において眼科学の指導研究,とくに緑内障の研究・治療に永年尽くされました故須田経宇名誉教授により設立されました。緑内障又はその治療に関する優れた研究を助成する為,下記要項により助成金交付申請を募集致します。

学会・研究会 ご案内

ページ範囲:P.1901 - P.1906

投稿規定

ページ範囲:P.1908 - P.1909

希望掲載欄

ページ範囲:P.1910 - P.1910

著作権譲渡同意書

ページ範囲:P.1911 - P.1911

アンケート

ページ範囲:P.1912 - P.1912

次号予告

ページ範囲:P.1913 - P.1913

あとがき

著者: 寺崎浩子

ページ範囲:P.1914 - P.1914

 本号がお手元に届くころには,臨床眼科学会も終わり,皆さまにあたらしい知識が詰め込まれていることと存じます。本号では,網膜の分野で話題になっている抗VEGF薬について特集が組まれています。加齢黄斑変性は,ご存じのように最初に抗VEGF薬が承認された眼科疾患で,さらに最近,新たな1種類が承認されています。加齢黄斑変性だけではなく,本年秋,近視性新生血管黄斑症と網膜静脈閉塞についても1つの抗VEGF薬が新たに適応追加されました。抗VEGF薬に対して多くの情報があると思いますが,是非,本誌により知識の整理を行ってみてください。連載には 甲状腺眼症の治療としてステロイド注射に触れられており,薬物治療はここでもまた活躍をするでしょう。

 さて,連載では,眼底カメラもここまで来たか,ということで,「今月の話題」に補償光学を用いた眼底評価,「何が見える? 何がわかる? OCT」では,光干渉断層計(OCT)が役に立つ機能の1つである神経線維層の評価について解説があります。画像診断の最近の進歩は急速でなかなか追いつきがたいですが,臨床的有用性は明らかであり,本誌を参考に明日の臨床にさらなる磨きをかけて下さい。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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