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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻12号

2013年11月発行

臨床報告

久留米大学病院における真菌性角膜炎の検討

著者: 山本昇伯1 石井美奈1 門田遊1 熊谷直樹1 山川良治1

所属機関: 1久留米大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1879 - P.1883

文献概要

要約 目的:久留米大学病院で過去9年間に経験した真菌性角膜炎の報告。対象と方法:2010年までの9年間に診断治療した真菌性角膜炎30例30眼を対象とした。男性14例,女性16例で,年齢は32~87歳,平均65歳である。診断は角膜病巣部の検鏡または分離培養で行った。結果:検出菌は糸状菌21例,酵母菌9眼であった。全例に角膜擦過を行い,16例はこれに加えた抗真菌薬の局所および全身投与で治癒し,14眼では結膜被覆術や表層角膜移植術などの追加手術で治癒した。最終視力は手術を必要とした症例で不良であった。22例で糖尿病または受診前にステロイド点眼による治療があり,うち13例(59%)が手術を必要とした。結論:糖尿病またはステロイド使用による免疫低下状態があると,真菌性角膜炎の予後が不良になる。

参考文献

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8)金井 淳・沖坂重邦:角膜真菌症の病理.眼科 25:651-660,1983

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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