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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病黄斑浮腫に漢方薬(黄連解毒湯)を投与した1症例

著者: 鴨下泉1 川崎恵2 村松恭代1

所属機関: 1医療法人社団知泉会鴨下眼科クリニック 2東京都済生会渋谷診療所

ページ範囲:P.1973 - P.1978

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要約 目的:糖尿病黄斑浮腫の症例に漢方薬(黄連解毒湯)を投与したので報告する。症例:21年の糖尿病歴を有し,7年前から経口血糖降下薬,1年前からインスリン治療中の66歳女性。1か月前から左眼視力障害を自覚し受診した。所見:矯正視力は右1.2,左0.2で,左眼に黄斑浮腫とその耳側に硬性白斑を認めた。黄連解毒湯製剤を内服し,1か月後に左眼視力は0.5,3か月後に0.9,2年後に1.0に改善した。光干渉断層計(OCT)により囊胞様黄斑浮腫の改善が確認された。初診から1年後に血糖コントロールが不良になったが,眼底病変の悪化は認めない。結論:片眼に糖尿病黄斑浮腫のある症例に黄連解毒湯を経口投与した結果,1か月後から黄斑浮腫が軽減し,視力が改善した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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