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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

臨床報告

血液透析患者のVogt-小柳-原田病に対するステロイド療法

著者: 安達功武1 宮川靖博1 工藤孝志1 木村智美1 横井由美子1 目時友美1 鈴木幸彦1 中澤満1

所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科眼科学教室

ページ範囲:P.1979 - P.1985

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要約 目的:血液透析中にVogt-小柳-原田病(原田病)が発症し,全身ステロイド療法を行った症例の報告。症例:69歳女性が10日前からの両眼霧視で受診した。19年前から高血圧があり,13年前から腎不全に対して血液透析を受けていた。所見:矯正視力は右0.4,左0.6で,両眼に漿液性網膜剝離と乳頭発赤と腫脹があった。前部ぶどう膜炎の所見は軽度であった。蛍光眼底造影などの所見から原田病と診断した。血液透析中なので泌尿器科の助言を求め,ステロイドパルス療法を行った。メチルプレドニゾロン1,000mgを3日間投与し,これを3回繰り返したのち,プレドニゾロンの内服を行った。網膜剝離は消失し,視力は右0.8,左1.0に回復した。結論:血液透析中に発症した原田病の症例に対し,ステロイドパルス療法が奏効した。副作用対策は透析患者の特殊性を考慮して慎重に行う必要があった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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