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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻13号

2013年12月発行

文献概要

臨床報告

梅毒性網脈絡膜炎に合併した囊胞様黄斑浮腫にステロイド局所投与が奏効した症例

著者: 横山英恵1 田川義晃2 本田仁3 横井匡彦1 加瀬学1 石田晋4

所属機関: 1手稲渓仁会病院眼科 2北海道医療大学病院眼科 3手稲渓仁会病院内科 4北海道大学大学院医学研究科医学専攻感覚器病学講座眼科学分野

ページ範囲:P.1995 - P.1999

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要約 目的:梅毒性網脈絡膜炎に併発した囊胞様黄斑浮腫にペニシリンと局所ステロイド投与が奏効した症例の報告。症例:59歳男性が9か月前からの左眼視力低下で受診した。10歳代に梅毒に罹患し,加療した既往がある。所見:矯正視力は右1.0,左0.2で,左眼にびまん性硝子体混濁と囊胞様黄斑浮腫があった。TPHAが高値で硝子体混濁とFAでの血管透過性亢進所見から,梅毒性網脈絡膜炎と診断した。ペニシリンGの大量点滴で2週後に左眼視力は0.6に改善した。残存した黄斑浮腫に対し,初診から68日後にトリアムシノロンのテノン囊下注射を行い,左眼視力は0.9に改善した。初診から20か月後の現在まで再発はない。結論:本症例でペニシリン投与後に残存した黄斑浮腫は,免疫性機序による炎症であったと解釈され,ステロイドの局所投与が奏効した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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