文献詳細
文献概要
特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(1) Special Interest Group Meeting(SIG)報告
黄斑研究会
著者: 伊藤逸毅1
所属機関: 1名古屋大学
ページ範囲:P.356 - P.358
文献購入ページに移動本年のテーマは,「網膜形態評価法はどこまで進歩したか」である。近年,網膜画像診断領域におけるさまざまな面で大きな進展がみられる。最も大きなトピックスの一つは,補償光学(adaptive optics:AO)眼底カメラが市販されるようになったことである。AOは眼底撮影時の収差を補正する装置であり,これを用いると眼底を超高解像度で撮影することができる。このAOを備えた眼底カメラ(Imagine Eyes社,フランス)が本邦でも承認がされ,発売になった。この装置を用いて撮影すると,約4μmの解像度で眼底撮影が可能であり,視細胞を直接可視化できる(図1)。残念ながら,視細胞のなかでも,高密度の中心窩の視細胞(cone)や周辺部の杆体(rod)はこの解像度では写らないが,視細胞単位での眼底評価が可能となったのである。現在はAO眼底カメラよりもはるかに焦点深度の浅いAO走査レーザー検眼鏡(AO-SLO)も開発されており,長期的にはAOは眼底評価に幅広く使われるような時代になっていくと思われる。
掲載誌情報