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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻4号

2013年04月発行

文献概要

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

コンタクトレンズ装用を発症誘因とする感染性角膜潰瘍の検討

著者: 松原倫子1 小出良平1 高橋春男1

所属機関: 1昭和大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.469 - P.473

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要約 目的:コンタクトレンズ(CL)装用により発症し,入院加療を必要とした感染性角膜潰瘍の報告。対象と方法:2012年までの9年間にCL装用で発症した感染性角膜潰瘍82例86眼を対象とし,診療録の記述を解析した。結果:男性48眼,女性38眼で,年齢は15~69歳(平均31歳)であった。78眼にソフトCL,8眼にハードCLが使われていた。82例中8例が定期的な眼科検査を受け,41例が定期検査を受けず,33例が不明であった。CLまたはその保存ケースの管理は82例中64例(78%)で不適切であった。86眼の角膜病巣から63眼(73%)に病原微生物が検出され,うち28眼(33%)に緑膿菌が同定された。保存ケースから69例中32例(46%)で緑膿菌が検出された。結論:CLまたはその保存ケースの不適切な管理で感染性角膜潰瘍が発症しやすくなる。管理についての教育と定期的な眼科受診が望まれる。

参考文献

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3)大橋裕一・鈴木 崇・原 裕子・他:コンタクトレンズ関連細菌性角膜炎の発症メカニズム.日コンタクトレンズ会誌 48:60-67,2006
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10)糸井素純・植田喜一・岡野憲二・他:「日本コンタクトレンズ協議会コンタクトによる眼障害アンケート調査」について.日本の眼科 74:497-507,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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