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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻4号

2013年04月発行

文献概要

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

非典型的な経過の急性後部多発性斑状色素上皮症の1例

著者: 小林円1 井出尚史1 南早紀子1 浪川博美1 松原彩来1 布施恵理2

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科 2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院皮膚科

ページ範囲:P.557 - P.561

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要約 目的:非典型的な経過をとった急性後部多発性斑状色素上皮症(APMPPE)の1症例の報告。症例:46歳女性が2週間前からの両眼の霧視と頭痛で受診した。所見:矯正視力は左右眼とも1.2で,両眼に虹彩後癒着と前房に炎症所見があった。8日後に両眼の後極部に黄白色斑状病巣が多発し,左眼視力は0.6になった。フルオレセイン蛍光眼底造影で,斑状病巣は早期には低蛍光,後期には過蛍光を呈した。1か月後に斑状病巣は特発的に寛解し,左眼視力は1.2に回復した。夕焼け状眼底は生じなかった。初診から1か月後に頭部の脱毛が生じ,その6か月後に寛解した。1年後の現在まで経過は良好である。結論:本症例はAPMPPEと診断したが,虹彩炎,頭痛,脱毛などは原田病でのそれに類似し,両疾患の中間的な位置にある可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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