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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻4号

2013年04月発行

文献概要

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

両眼に発症した劇症型急性網膜壊死の若年者例

著者: 三根正1 大野新一郎1 平田憲1 沖波聡1 牛山佳子2

所属機関: 1佐賀大学医学部眼科学講座 2さが駅前眼科

ページ範囲:P.569 - P.574

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要約 目的:劇症型急性網膜壊死が両眼に発症した若年者の報告。症例:13歳男子が8日前からの左眼霧視と眼痛で受診した。矯正視力は右0.9,左手動弁で,左眼の前房に炎症所見があった。両眼に網膜静脈の拡張と蛇行,乳頭の発赤・腫脹,後極部の網膜剝離があった。左眼には眼底全面に黄白色滲出斑が多発し,急性網膜壊死と診断した。左眼の網膜剝離が拡大し,初診3日後にシリコーンオイル充塡を併用する硝子体手術と強膜輪状締結術を行った。左眼前房水から水痘帯状疱疹ウイルスが検出された。右眼は保存的に治療し,両眼の網膜は復位した。初診の4か月後に病状は安定し,右眼視力は1.2,左眼視力は0.03であった。結論:急性網膜壊死が疑われる症例では,両眼発症の可能性を考えて対処すべきである。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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