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文献概要
連載 つけよう！ 神経眼科力・39
心療眼科：神経眼科の一大領域へ
著者： 若倉雅登1
所属機関： 1井上眼科病院
ページ範囲：P.858 - P.863
文献購入ページに移動はじめに
視機能の生理と病理を扱う臨床医学が，神経眼科学だと捉える考え方がある。神経眼科が扱う眼瞼機能，眼位変化や眼球運動，調節や瞳孔反応は，いずれも最適な視覚を得るために必須な機能である。そして，眼球に入力された外界からの視覚情報が，眼球から視路を介して視覚中枢に到達し，さらに高次脳機能で認知される経路は，まさに神経眼科の領域といえる。
一方，心療眼科は心身医学（psychosomatic medicine）に属するものとみなすこともできるが，われわれは，「視覚や眼のさまざまな不都合，不快な症状や，それに伴う心理的負担に対する医学的，心理学的対応，また，精神疾患や薬物使用に伴うさまざまな視覚や眼部症状に対する医学的対応を行おうとする，より実践的対応」を目指しつつ，心療眼科の蓋然性，必需性を訴えてきた経緯がある1,2）。
表1には心療眼科を必要とする理由と神経眼科との関連を示した。心療眼科の考え方は，眼科全般に必要なことではあるが，表の内容を見れば，神経眼科的スタンスをとりながら，心療眼科学を発展させることの意義を読み取っていただけるであろう。
本稿では神経眼科と関連の深い心療眼科学の2大テーマとして，「器質的異常が検出されない視覚異常」と「眼部快適性が欠如する病態」について取り上げて，考察する。
視機能の生理と病理を扱う臨床医学が，神経眼科学だと捉える考え方がある。神経眼科が扱う眼瞼機能，眼位変化や眼球運動，調節や瞳孔反応は，いずれも最適な視覚を得るために必須な機能である。そして，眼球に入力された外界からの視覚情報が，眼球から視路を介して視覚中枢に到達し，さらに高次脳機能で認知される経路は，まさに神経眼科の領域といえる。
一方，心療眼科は心身医学（psychosomatic medicine）に属するものとみなすこともできるが，われわれは，「視覚や眼のさまざまな不都合，不快な症状や，それに伴う心理的負担に対する医学的，心理学的対応，また，精神疾患や薬物使用に伴うさまざまな視覚や眼部症状に対する医学的対応を行おうとする，より実践的対応」を目指しつつ，心療眼科の蓋然性，必需性を訴えてきた経緯がある1,2）。
表1には心療眼科を必要とする理由と神経眼科との関連を示した。心療眼科の考え方は，眼科全般に必要なことではあるが，表の内容を見れば，神経眼科的スタンスをとりながら，心療眼科学を発展させることの意義を読み取っていただけるであろう。
本稿では神経眼科と関連の深い心療眼科学の2大テーマとして，「器質的異常が検出されない視覚異常」と「眼部快適性が欠如する病態」について取り上げて，考察する。
参考文献
1）若倉雅登：心療眼科入門．序論：眼科における心身医学の必需性．神経眼科 29：143-146，2012
2）若倉雅登編：実践！心療眼科．銀海舎 1-208，2011
3）気賀沢一輝：心療眼科入門．心因性視覚障害を解離，転換の観点から考える．神経眼科 29：147-156，2012
4）設楽恭子，若倉雅登：詐病と心因性視覚障害．1．心因性視覚障害の診断．眼科 53：295-299，2011
5）向井章太・原口瞳・原田香奈・他：井上眼科病院における小児の非器質性視覚障害．日本視能訓練士協会誌 40：99-105，2011
6）小澤優貴・小林香・向井章太・他：1年以上経過観察できた非器質性視覚障害の検討．日本視能訓練士協会誌 41：155-161，2012
7）Kohmoto H, Inoue K, Wakakura M：Divergence insufficiency associated with high myopia. Clin Ophthalmol 5：11-16, 2010
8）若倉雅登：眼科における薬物副作用．抗精神薬，抗不安薬の眼科副作用．あたらしい眼科 25：461-464，2008
9）Rich S, Yazbek JC：Ocular adverse effects of common psychotropic agents：a review. CNS Drugs 24：501-526, 2010
10）若倉雅登：なぜ今，心療眼科なのか．日本の眼科 81：1136-1140，2010
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15）Gallacher J, Elwood P, Pickering J et al：Benzodiazepine use and risk of dementia：evidence from Caerphilly prospective study（CaPS）. J Epidemiol Community Health 66：869-873, 2012
16）若倉雅登：見落しがちな瞬目の異常―眼瞼けいれんを中心に．臨眼 65：28-31，2011
17）Emoto Y, Emoto H, Oishi E et al：Twelve cases of drug-induced blepharospasm improved within 2 months of psychotropic cessation. Drug, Healthc Patient Saf 3：9-14, 2011
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