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特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著
サルコイドーシスによる下垂体鞍上部肉芽腫の1例
著者: 渡部真樹子1 坂井譲1
所属機関: 1市立加西病院眼科
ページ範囲:P.867 - P.873
文献購入ページに移動要約 目的:サルコイドーシスの治療中に視野異常が突発した症例の報告。症例:30歳女性が右眼の霧視で受診した。2か月前に左側の顔面麻痺が生じ,プレドニゾロン内服で軽快していた。所見:矯正視力は左右眼とも1.0で,右眼圧が58mmHgであった。両眼に虹彩炎の所見があり,眼底に乳頭の発赤浮腫と静脈周囲炎があった。ツベルクリン反応は陰性で,両肺門部にリンパ節腫脹があり,生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫があった。多尿があり,尿崩症と診断された。さらにサルコイドーシスによるぶどう膜炎と中枢神経症,続発緑内障と診断し,プレドニゾロン内服で寛解した。初診から5か月後に右眼視野障害が生じ,造影MRI検査で下垂体鞍上部に直径20mmの肉芽腫が発見された。以後12か月間,ステロイド単独下では漸減時再発・悪化を繰り返したが,メトトレキサートを併用してからは順調に減量でき,病状も軽減している。結論:サルコイドーシスで中枢神経に肉芽腫が生じることがある。
参考文献
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