icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻6号

2013年06月発行

文献概要

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

特発性黄斑上膜の術後経過

著者: 盛秀嗣1 大橋啓一1 田川美穂1 若園知尊1 田村和寛1 中村元1 松岡俊行1 西脇弘一1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院眼科

ページ範囲:P.905 - P.909

文献購入ページに移動
要約 目的:黄斑上膜の術後の長期経過の報告。対象と方法:過去44か月間に手術を行った特発性黄斑上膜95例97眼を対象とした。男性39眼,女性58眼で,年齢は42~85歳(平均67歳)である。平均18か月の術後経過を追った。86眼では水晶体乳化吸引と眼内レンズ挿入を行った。視力はlogMARで評価した。結果:黄斑上膜の再発はなかった。視力改善は,70%の症例で術後2か月以内に起こった。術前視力と術後視力には正の相関があった(p<0.01)。高齢であるほど術後視力が不良であった。発症から手術までの平均罹病期間は,視力が改善した症例では9.5か月,改善しない症例では22.4か月で有意差があった。両群の間に中心窩厚に差はなかった。術前に光干渉断層計(OCT)でCOSTラインが見える症例では,術後視力が良好であった。結論:特発性黄斑上膜への硝子体手術では,術前視力が良好であり,年齢が低く,COSTラインが見える症例で視力転帰が良好であった。

参考文献

1)熊谷和之・荻野誠周・出水誠二・他:特発性黄斑上膜に対する硝子体手術.術前視力と術後視力の関係.臨眼 51:760-765,2000
2)佐藤敬子・吉澤豊久・太田正行・他:比較的視力良好な黄斑上膜に対する硝子体手術の視力予後.眼科 48:247-254,2006
3)大野尚登・森山 涼・柳川隆志・他:黄斑上膜に対する内境界膜剝離の有無による長期成績の差異.臨眼 62:1915-1918,2008
4)長谷川琢也・恵美和幸・池田俊英・他:特発性黄斑前膜における内境界膜剝離術後の長期成績.日眼会誌 108:150-156,2004
5)田中春花・吉武 信・木内絢子・他:黄斑円孔・黄斑上膜の23ゲージ硝子体手術前後におけるquality of lifeの変化.眼臨紀 4:893-897,2011
6)山下 力・後藤克聡・渡邊一郎・他:特発性黄斑上膜に対する硝子体手術後の光干渉断層計所見と視力の検討.臨眼 63:429-433,2009
7)神原千浦・伊野田繁・清水由花・他:特発性黄斑上膜に対する硝子体手術前後のOCT所見.眼臨 96:955-958,2002
8)石田政弘・竹内 忍・中村充智・他:特発性黄斑上膜に対する硝子体手術成績と中心窩網膜厚の経過.日眼会誌 108:18-22,2004
9)櫻井 禅・島田佳明・小嶋義久・他:黄斑上膜術後視力と術前中心窩厚,黄斑部ERGの相関.あたらしい眼科 19:1353-1357,2002
10)花井 徹・太田浩一・甘利富士夫・他:黄斑上膜に対する硝子体手術成績.あたらしい眼科 18:406-408,2001
11)Pesin SR, Olk RJ, Grand MG et al:Vitrectomy for premacular fibroplasia. Prognostic factors, long-term follow-up, and time course of visual improvement. Ophthalmology 98:1109-1114
12)大谷倫裕:OCT.最近の進歩(網膜).眼科 54:747-754,2012
13)下園正剛,大石明生,松木考顕・他:特発性黄斑上膜術後の視力予後に影響するスペクトラルドメインOCT所見.眼科 53:828-829,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?