臨床眼科67巻6号

2013年06月発行

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集（4）

原著

アイトラッカーを用いた先天性眼振の強度測定

著者： 渋谷洋輔¹ 田中明子¹ 望月學¹

所属機関： ¹東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学分野

ページ範囲：P.959 - P.963

文献概要

要約　目的：視線追跡装置であるアイトラッカーを用いて，先天性眼振の強度と波形を検索した報告。対象と方法：外来に通院中の先天性眼振4症例を対象とした。男児3名，女児1名で，3例が乳児眼振，1例が先天周期性交代性眼振であった。年齢はそれぞれ4，5，6，17歳であった。矯正視力は全例が0.6以上，2例が1.0以上であった。装置の中に指標を9方向に提示し，3～6秒ずつ注視させ，他覚的に眼振の強度と波形を解析した。結果：全例で眼振の強度と波形が解析できた。結論：アイトラッカーは先天性眼振の眼球運動の記録に有用であり，診断と治療の補助として使える可能性がある。

参考文献

1）林　孝雄：眼位・眼球運動異常の診断と治療，眼振．眼科　54：393-398，2012

2）Khanna S, Dell'Osso LF：The diagnosis and treatment of infantile nystagmus syndrome（INS）. Scientific World Journal　6：1385-1397, 2006

3）Dell'Osso LF, Daroff RB：Congenital nystagmus waveforms and foveation strategy. Doc Ophthalmol　39：155-182, 1975

4）三村　治：眼球電図（眼球運動）．小口芳久・澤　充・大月　洋・他（編）：眼科検査法ハンドブック第4版．328-331，医学書院，東京，2010

5）川崎夏子，喜多村健：平衡障害（1）めまいの基礎．臨床脳波　52：165-171，2010

6）Hertle RW：Examination and refractive management of patients with nystagmus. Surv Ophthalmol　45：215-222, 2000