臨床眼科67巻7号

2013年07月発行

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集（5） 原著

角膜移植眼に起きた眼外傷の4例

著者： 諏訪晶子¹ 西出忠之¹ 早川夏貴¹ 石井麻衣¹ 中西美紗子¹ 木村育子¹ 澁谷悦子¹ 上本理世¹ 野村英一¹ 水木信久¹

所属機関： ¹横浜市立大学附属病院眼科学教室

ページ範囲：P.1139 - P.1141

要約　目的：全層角膜移植を受けた眼に生じた眼外傷4例の報告。症例：4症例4眼の内訳は，男性1例，女性3眼で，年齢は52～81歳，平均71歳である。結果：全例に全層角膜移植の既往があり，鈍性外傷が受傷原因で，転倒による自傷が多かった。全例に角膜移植時の術創の離開があった。受傷後の視力は光覚弁2例，手動弁2例で，最終視力は光覚なし，光覚弁，0.03，0.4が各1例であった。非受傷眼の視力は，0.1が2眼，0.4と0.8が各1眼であった。結論：全層角膜移植を受けた患者は，低視力や視野障害が多く，眼球強度が脆弱化していることがあるので注意が望まれる。

参考文献

1）小菅恵子・小早川信一郎・高橋博子・他：角膜移植眼の眼外傷について．あたらしい眼科　15：1748-1750，1998

2）森　秀樹・村松隆次・臼井正彦：角膜移植後の眼球破裂：長期予後が良好であった3例．日眼紀　53：727-730，2002

3）坂東純子・横井則彦・外園千恵・他：全層角膜移植後眼の外傷による創離開例．臨眼　58：617-622，2004

4）内藤紘策・鈴木宏光・豊島　馨・他：角膜穿孔症例への治療とその効果について検討．あたらしい眼科　25：213-217，2008

5）Agrawal V, Wagh M, Krishnamachary M et al：Traumatic wound dehiscence after penetrating keratoplasty. Cornea　14：601-603, 1995

6）Raber IM, Arentsen JJ, Laibson PR：Traumatic wound dehiscence after penetrating keratoplasty. Arch Ophthalmol　98：1407-1409, 1980

7）Rehany U, Rumelt S：Ocular trauma following penetrating keratoplasty. Arch Ophthalmol　116：1282-1286, 1998

8）Tseng SH, Lin SC：Traumatic wound dehiscence after penetrating keratoplasty. Cornea　18：553-558, 1999