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臨床報告
トーリック眼内レンズ挿入後の軸回転の評価
著者: 林泰博1
所属機関: 1清川病院眼科
ページ範囲:P.1213 - P.1216
文献購入ページに移動要約 目的:トーリック眼内レンズ(IOL)の軸回転について画像解析ソフトを用いて検討した。対象と方法:当院にてトーリックIOLを挿入した38眼を対象とした。術翌日と術1年後に散瞳下前眼部写真を撮影し,トーリックIOLの乱視軸の状態を解析した。結果:乱視軸マークが2点以上確認できたものは31眼(82%),2点未満だったのは7眼(18%)で,原因は散瞳不良と前囊混濁であった。2点以上軸マークが確認できた31例のうち軸回転が3度未満であったものが19眼(61%),3°以上であったものが12眼(39%)であった。前囊切開がIOL光学部を全周被覆している症例で軸回転が有意に少なかった。結論:トーリックIOLの機能を長期に維持するためには,前囊切開の全周被覆が必要と思われた。
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