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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科67巻8号

2013年08月発行

文献概要

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

高校入試直前に発症したネコひっかき病の1例

著者: 新美佑介1 黒岩真友子1 大家進也1 白木玲子1 望月清文1 大楠清文2

所属機関: 1岐阜大学大学院医学系研究科神経統御学講座眼科学分野 2岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御分野

ページ範囲:P.1289 - P.1294

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要約 目的:高校入試直前にネコひっかき病が発症した症例の報告。症例:15歳男性が発熱に続き左眼視力低下を自覚した。解熱後も眼症状が持続したため近医を受診し,乳頭浮腫を指摘され当科紹介となった。5日後に高校入試を控えていた。初診時の矯正視力は両眼1.0で,両眼視神経乳頭の発赤腫脹,左眼底の漿液性剝離および白色滲出斑などの所見に加え,頸部リンパ節腫脹を認めた。ネコの飼育歴があり,初診時の血液検体からBartonella henselae抗体価の上昇がみられたことからネコひっかき病による視神経網膜炎と診断した。抗菌薬および副腎皮質ステロイド薬内服を行った。治療開始後,計3回の受験があり,すべてマスク着用で個室にて行われた。発症から7か月後の現在,両眼矯正視力は1.5で,視神経網膜炎の再発はない。結論:発症後早期の抗体価検索と治療開始で,ネコひっかき病の重症化を防ぐことができ,加えて各受験場の適切な対応により高校入試を無事完遂させることができた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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