臨床眼科67巻9号

2013年09月発行

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集（7）

原著

後天色覚異常者の白内障術後の色覚変化

著者： 牛島美奈子¹² 藤澤公彦¹ 瀧瑠美子¹ 吉村寿彦¹ 松本時子¹ 仙石昭仁¹ 武田憲治¹ 前野則子²

所属機関： ¹九州厚生年金病院眼科 ²製鉄記念八幡病院眼科

ページ範囲：P.1483 - P.1488

文献概要

要約　目的：白内障手術の前後で測定した色覚変化の報告。対象と方法：白内障手術を行った30例54眼を対象とした。手術には超音波乳化吸引術と眼内レンズ移植術を用い，手術前後に仮性同色表により色覚を検査した。年齢は54～89歳，平均73歳で，全例に着色眼内レンズを挿入した。結果：術前検査で39眼（72％）に色覚異常が疑われ，うち29眼（74％）で白内障手術後に色覚の検査結果が改善した。11眼では白内障術後にも色覚異常が続いた。糖尿病網膜症，加齢黄斑変性，網脈絡膜炎，視神経症などがその原因として推定された。2症例2眼では白内障術後の色覚変化が著しく不快であると訴えた。この2例中1例では原因が同定できず，他の1例では一過性の視神経障害が疑われた。結論：白内障眼での色覚障害は，白内障手術後に正常化することが多い。白内障以外の後天色覚異常があるときには，これが術後に顕著化することがある。

参考文献

1）三戸岡克也：着色眼内レンズBlue Blocked IOL，Tinted IOL．あたらしい眼科　21：601-605，2004

2）高橋洋子：術後色覚異常．あたらしい眼科　16：807-808，1999

3）Landers JA, Tamblym D, Perriam D：Effect of a blue-light-blocking intraocular lens on the quality of sleep. J Cataract Refract Surg　35：83-88, 2009

4）三戸岡克哉：眼底視認性に対しての着色レンズの影響．眼科手術　23：513-519，2010

5）渡邉洋一郎：白内障手術前後の高次収差の変化．横浜医学　56：107-110，2005

6）柳　靖雄：加齢黄斑変性と白内障手術．IOL & RS　22：35-38，2008

7）岡本周子・大鹿哲郎：白内障手術による眼光学特性の変化．眼科手術　16：461-466，2003

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