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特集 眼底疾患と悪性腫瘍
腫瘍関連網膜症
著者: 上野真治1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学講座(眼科学)
ページ範囲:P.50 - P.56
文献購入ページに移動はじめに
悪性腫瘍患者において腫瘍細胞の直接の浸潤や転移などによらず,自己免疫機序の遠隔効果によって中枢神経系に異常が生じるものを腫瘍随伴症候群(paraneoplastic syndrome)と呼ばれている。その病因としては神経組織に発現している蛋白が腫瘍組織に異所性に発現することにより,腫瘍組織に発現した蛋白と神経組織の蛋白がともに非自己と認識され,自己抗体が発現し攻撃を受けることによると考えられている。腫瘍随伴症候群で最も有名なのがLanbert-Eaton症候群で,これは腫瘍内に神経終末に発現するカルシウムイオンチャネルを発現し,それに対する自己抗体が出現することにより神経終末のカルシウムチャネルが傷害され,筋肉の脱力と易疲労性が生じる。
同様の機序で,網膜に障害を生じるものが腫瘍関連網膜症(paraneoplastic retinopathy)と呼ばれる。上皮由来の悪性腫瘍により視細胞を傷害するものを癌関連網膜症(cancer assoicated retinopathy:CAR),また主にメラノーマにより双極細胞に対する自己抗体が発現し双極細胞の機能障害を生じるものは,メラノーマ関連網膜症(melanoma associated retinopathy:MAR)と呼ばれている。それら以外にも,上皮由来以外の悪性腫瘍であるリンパ腫や肉腫などによる視細胞の傷害も腫瘍関連網膜症の1つとして知られている。今回は腫瘍関連網膜症のなかでも頻度の高いCARと,最近自己抗体の抗原の1つが見つかり,病態の解明が進んできたMARを中心とした双極細胞に対する自己抗体による腫瘍関連網膜症について詳述する。
悪性腫瘍患者において腫瘍細胞の直接の浸潤や転移などによらず,自己免疫機序の遠隔効果によって中枢神経系に異常が生じるものを腫瘍随伴症候群(paraneoplastic syndrome)と呼ばれている。その病因としては神経組織に発現している蛋白が腫瘍組織に異所性に発現することにより,腫瘍組織に発現した蛋白と神経組織の蛋白がともに非自己と認識され,自己抗体が発現し攻撃を受けることによると考えられている。腫瘍随伴症候群で最も有名なのがLanbert-Eaton症候群で,これは腫瘍内に神経終末に発現するカルシウムイオンチャネルを発現し,それに対する自己抗体が出現することにより神経終末のカルシウムチャネルが傷害され,筋肉の脱力と易疲労性が生じる。
同様の機序で,網膜に障害を生じるものが腫瘍関連網膜症(paraneoplastic retinopathy)と呼ばれる。上皮由来の悪性腫瘍により視細胞を傷害するものを癌関連網膜症(cancer assoicated retinopathy:CAR),また主にメラノーマにより双極細胞に対する自己抗体が発現し双極細胞の機能障害を生じるものは,メラノーマ関連網膜症(melanoma associated retinopathy:MAR)と呼ばれている。それら以外にも,上皮由来以外の悪性腫瘍であるリンパ腫や肉腫などによる視細胞の傷害も腫瘍関連網膜症の1つとして知られている。今回は腫瘍関連網膜症のなかでも頻度の高いCARと,最近自己抗体の抗原の1つが見つかり,病態の解明が進んできたMARを中心とした双極細胞に対する自己抗体による腫瘍関連網膜症について詳述する。
参考文献
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