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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科68巻1号

2014年01月発行

文献概要

臨床報告

周辺部網膜出血を認めたC型肝炎ウイルス関連網膜症の1症例

著者: 佐藤孝樹1 杉山哲也1 土屋祥子1 喜田照代1 幾井重行1 藤本陽子1 池田恒彦1

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.85 - P.88

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要約 目的:網膜周辺部に出血が生じたC型肝炎ウイルス網膜症の1症例の報告。症例:61歳男性がインターフェロン投与前の眼科的検査のため紹介受診した。43年前に腹膜炎の手術の際に輸血を受けた。11年前にC型肝炎が発見され,1年前に肝細胞癌に対して肝切除を受けた。所見:矯正視力は右1.2,左1.0で,両眼底の耳側周辺部に毛細血管瘤と出血斑が多発していた。インターフェロン投与は行わなかった。1年間の蛍光眼底造影による経過観察で,耳側周辺部の無灌流領域が拡大した。結論:インターフェロン網膜症では網膜出血と軟性白斑が生じることがある。本症例では眼底周辺部に無灌流領域と毛細血管瘤が主要な病変であった。

参考文献

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4)阿部 徹・中島亜子・佐藤直樹・他:C型慢性肝炎患者の眼科疾患罹患率.臨眼 49:391-394,1995
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10)新家 眞:レーザースペックル法による生体循環測定―装置と眼科研究への応用.日眼会誌 103:871-909,1999
11)Isono H, Kishi S, Kimura Y et al:Observation of choroidal circulation using index of erythrocytic velocity. Arch Ophthalmol 121:225-231, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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